サービス利用の流れは次のとおり。まず、仕事をこなす才能を持っているユーザー(セラー)は、自身がどういった業務に対応できるかという「才能」を登録できる。そして仕事を依頼したいユーザー(バイヤー)が登録した仕事を検索し、その仕事に応募できる。一方、バイヤーは仕事を登録してセラーを募集できるほか、求める才能を持つセラーを検索し、自身が登録した仕事の依頼をすることが可能だ。
両者のニーズがマッチし、仕事の応募(もしくは依頼)を承諾することで、サイト上での仕事のステータスが「進行中」になる(厳密にはセラー側では「進行中」、バイヤー側では「参加中」というステータスになる)。
その後はセラーが実際に仕事を行い、完了した時点でバイヤーに連絡。バイヤーは、その内容を確認した上で、ステータスを「完了」にし、対価をセラーの銀行口座に入金するという流れだ。アルカーナにはその仕事の価格の数パーセントを手数料として支払う。入金後に双方が仕事についてのレビューを行い、ステータスを「終了」にした時点でその仕事が完全に終了したことになる。なお、10月15日時点での登録ユーザーは法人も含め872名。登録されている仕事は66件で登録されている才能は251件となっている。
原田氏が起業時より構想を練っていたアポロンだが、2008年4月にプロトタイプを開発、その後開発環境を変更して8月から知人友人を中心としたテスト運用を始めた。テスト運用中にも、ある会社が名刺のデザインという仕事を登録したところ、見事デザイナーとの仕事が実現するなど、数ケースではあるが仕事が成立しているのだという。
国内でクラウドソーシングの概念を取り入れるサービスは、リクルートのメディアテクノロジーラボが提供するクリエーター向けサービス「C-TEAM」などいくつかあるものの、まだまだなじみが深いとは言えない。
しかし海外では日本に比べてクラウドソーシングは活発だという。ネットサービスを共同開発する「Cambrian House」や研究者向けの「INNOCENTIVE」などをはじめ、数多くのサービスが立ち上がっている。またそれらのサービスの多くはウェブだけで完結するものでなく、家庭教師やベビーシッターのマッチングなどリアルビジネスに結びついているケースが少なくない。
まだまだ認知度が高いとは言えないクラウドソーシング。そのため原田氏は「まだイバラの道ですが……」としながらも、「兼業や副業の市場は6〜7兆円規模と少なくありません。(アポロン上で)この市場の一部がうまく動けば社会基盤を変えるプラットフォームになります。かつて『ネットオークション』という概念も受け入れられるまでに5年ほどの時間がかかりましたが、そんな風に育てていきたい」と語る。
同社では今後、アポロンのコミュニティ機能を強化することで、ビジネスSNSとしての機能強化やユーザー自身の信頼性を高めるほか、仕事が成立するユーザーのランキングなど、機能拡張を進めていく。
またアポロン、ドリームエクスペリエンス.jpと並行してR&D部門としてソーシャルメディアの開発も手がけていく。すでにインターネットを使って良かったと思える体験談やインターネットを介して出会った人などを紹介する「pandola.jp」や、「ギーク」と呼ばれる著名エンジニアをデータベース化する「ギークデータベース」、同社のべにぢょ氏がキャスターを務める動画コンテンツ「lovecall.jp」などを提供しているが、今後もトライアンドエラーを繰り返してサービスを提供していくという。
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