Web 2.0関連で頭に「ソーシャル」とつく事象の特徴は、いわゆる「Wisdom of crowd」というか、乱暴な言い方をすると「チリも積もればなんとやら」・・・無論、それが有機的につながり合っていないと大きな力にならないわけですが、そうした事象がいま世界規模で起こっているらしい、というのは改めて申し上げるまでもありません。
シンプルなちょっとしたモノを大量にかき集めると、全体として質的な変容が起こるというのは、実はWeb 1.0のころから一部で指摘されていたことで、雑誌「Wired」の創刊に携わった編集者Kevin Kellyの1998年の著書「New Rules for the New Economy」のなかには、たとえば「Dumb parts, properly connected into a swarm, yield smart results.」「The surest way to smartness is through massive dumbness.」といったパラグラフが並んでいますが、これなど現在のDiggやその他のソーシャルブックマークサービスをたやすくイメージさせるものではないでしょうか(・・・1.0の時代には「適切に結びつける」仕組みがなかった、ということか)。
さて、今日採り上げる「Mycroft」は、このネットワークでつながった数多くの人々の力を借りて、データ処理やキーワードの付加といった比較的簡単な仕事をいっきに片づけてしまおう・・・といったねらいを持つ新しいサービスです。
Mycroftはまだ本格的に始動しているわけではないため、サイトにアクセスしても仰々しいマニフェスト(?)がならぶだけで、サービスの具体的な姿は見えてきません。ただし、サービスの目指すものうかがわせるヒントは随所にあります。たとえば、このページにおかれたバナーには、「下の画像に描かれている文字をそのまま入力欄にタイプしてください」「このアイテムをもっともよく示すキーワードを入力してください」といった指示が表示されます。そして、暇な時間に偶然このバナーを目にし、指示に従って作業したユーザーには報酬が与えられることになります(あるいは、日本人からすれば無に等しいほど細かな額でも、これから100ドルPCを使ってネットにアクセスしてくるような第三世界の子供たちにはないがしろにできない金額になるのかもしれません)。また、このMycroftが配信するバナーを掲載するサイト運営者にもいくらかの対価が支払われ、さらにテープ起こし、情報のカテゴリ分けやタグ付け、文書のデジタル化といったデータ処理の仕事をMycroftに頼んだクライアント企業では、ほかよりも安く、素早く作業を処理できるというメリットを得られる仕組みのようです。
「群衆にアウトソースするからクラウドソーシング」。一部の人々の口にのぼり始めた新しいコンセプトがこのMycroftで定着するかもしれません。
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