薬事法規制が厳しくなる今、特に規制が厳しい健康食品にかわって化粧品を販売しようとする企業が増えている。おそらく健康食品に比べ、化粧品は効果効能が謳えるからであろう。だが同じような商品を売るメーカーが増えると、その中で勝ち残っていくのは容易なことではない。また、忘れていけないのが化粧品も薬事法規制の下にあるということだ。
そこで、覚えておきたい化粧品と薬事法の関係について簡単にまとめてみた。
化粧品として位置付けられる製品には、薬事法上で「化粧品」として扱われるものと「医薬部外品」(薬用化粧品)として扱われるものがある。それぞれは、薬事法第2条で次のように定義されている。
「人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚もしくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう」(参考:化粧品の効果効能の範囲)
次に挙げることが目的とされており、かつ、人体に対する作用が緩和な物であって機械器具等でないもの及びこれらに準ずるもので厚生労働大臣の指定するものをいう。
化粧品と医薬部外品のそれぞれ認められる効能効果は、下記のとおりである。
上記の表でも分かるように「医薬部外品」の化粧水・乳液ならば、いわゆる美白効果を示唆する表現ができる。例えば、「メラニンの生成を抑え、日焼けによるシミ、そばかすを防ぐ」というフォロー文をつければ、「美白」「ホワイトニング」というワードが使えるのである。
前回の記事で書いたように、健康食品は効果効能を述べるのが難しい。なぜなら、健康食品(サプリメント)は医薬品と誤認されやすいからである。それに比べ、このように化粧品ではある程度の効果効能を謳うことが認められる。(例えば肌荒れを防ぐ。キメを整える)
また、医薬部外品となれば「シミ・そばかすを防ぐ」や「ニキビを防ぐ」など、更に明確な効果効能がいえるのである。文頭で述べたように、化粧品メーカーが増える理由の一つにはこのような現状も影響しているのであろう。健康食品よりも販売しやすい化粧品メーカーが増えることにより、似たような効果を持つ商品が多く発売されることが予想される。
広告上での見せ方もそうだが、薬事法を理解した上で他社との表現の違いで勝負していくことが大きなカギとなる。
(参考文献:「医薬品・化粧品等 広告の実際 2006」/薬事監視研究会/武田正一郎)
佐藤 奈津美(セプテーニ)
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