Amazon.comは現在、開発者や企業を対象にした新しいコンテンツデリバリーサービスに取り組んでおり、2008年末までに提供開始することを目指している。
Amazon Web Services Blogに、米国時間9月18日付けで次のような記事が掲載されている。
「この新しい(まだ名称が決まっていない)サービスは、一般向けの誰もが読めるコンテンツを高速データ転送によって大きな遅延なく世界中の顧客に配信する、パフォーマンスの高い方法を提供する」
Amazonの最高技術責任者(CTO)Werner Vogels氏は別のブログに、同社がこのサービスで「クラウドを拡大しつつある」と書いている。「この新サービスは、エッジロケーションのグローバルネットワークを利用することにより、Amazon S3に保存された一般向けのデータをローカルアクセス経由で世界中の顧客に提供できるようにする」という。
Amazonの新しいサービスでは、ユーザーが自らのコンテンツをAmazon S3に保存し、準備が整った段階で公開の指定ができるようになる。Amazon Web Services Blogによれば、ユーザーが「単一のAPIをコールしてバケットを登録」すると、コンテンツに割り当てられたドメイン名が得られる。クライアントが「そのドメイン名でオブジェクトをリクエストすると、一番近いエッジロケーションに転送される」という。このような仕組みになっているのは、高速でコンテンツを配信するためだ。
Amazonのコンテンツデリバリーサービスは、顧客がサービスを利用した分量に応じて支払う従量制となる見通しだという。料金はまだ発表されていない。
GigaOmのOm Malik氏は、AkamaiやLimelight Networksといった既存のコンテンツデリバリーネットワーク(CDN)にとって、Amazonのサービスは脅威となるだろう、と述べている。
「Amazonは、1980年代の仲介企業のような販売モデルに基づく事業に、一定の透明性を持ち込もうとしている。書籍を買うのと同じくらい簡単にCDNサービスを購入できるようにしたいと考えているのだ。同社幹部から聞いた話では、顧客に長期契約を押しつける現在のプロバイダーのようなやり方ではなく、サービスを利用した分量に応じて料金を徴収する予定だという」(Malik氏)
Seeking AlphaのDan Rayburn氏も、次のような保留をつけてだが、同じ見方を示している。
「コンテンツデリバリーを提供し始めたら、ただちにAkamaiやLimelightといった主要なCDNと競合する、ということはないだろうが、今後Amazonが特定の製品機能を追加した場合は競合する可能性がある」(Rayburn氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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