新学期前の約2カ月間のショッピングシーズンは、概して一般消費者向けの家電販売業界に実りの多い時期である。だが、2008年はそのようにならなかった。
あらゆる家電製品のカテゴリが、総合的に見て、ごくわずかな成長にとどまっている。ノートPC販売は、前年同時期と比較して10%増の成長を見せたものの、デスクトップPCは3%減となった。過去数年間は、決まって大きな成長を遂げていた製品カテゴリにおいても、著しい失速が見られている。たとえば、デジタルカメラ販売は1%減、プリンタ販売は横ばい、MP3プレーヤー販売は7%増にとどまった。
年間の売り上げで大きな巻き返しを計りやすい、重要な(年末の)ホリデーショッピングシーズンが近づく現在、これは家電販売業者にとって、非常に悩ましい状況である。
家電販売業界をウォッチしている、NPD Groupの業界分析部門バイスプレジデントのSteve Baker氏は、「ホリデーシーズンの状況も、新学期前のショッピングシーズンの状況と似たようなものになるのではないかと予測している」と語った。(年末の)ホリデーシーズンには、もっと多くのカテゴリで売れ行きが伸びるため、新学期前のショッピングシーズンよりは「少し需要が好転する」可能性はある。新学期前の時期には、主に小売業者は、コンピュータや周辺機器を売り込む傾向が強い。
ノートPCに関して問題なのは、これまでの数年間、非常に売れ行きが良かったため、いつまでもこの調子で成長を維持することは不可能な点である。新学期前のショッピングシーズン中のノートPC販売は、過去数年は、10%台後半か20%台前半の成長率を維持してきたため、2008年に記録した10%の成長率でさえ、小売業者にとっては期待外れの数値でしかない。
また、市場が成熟期を迎えると、もはや大幅な値下げを小売業者が提供するのも難しくなってくる。すでに大手ブランドのノートPCでさえ、このところ600ドル未満で販売されるようになっており、小売業者は、これ以上の値下げに踏み切って、許容範囲内の利ざやを確保していくのは困難であることに気づいている。これは、1年で最もお得なセールを小売業者が提供しやすい、クリスマス商戦の開始を特色づける「ブラックフライデー」や、その後のシーズンにも、やはり同じように当てはまる可能性がある。
もちろん、特にノートPCのような重要なカテゴリに関しては、新学期前のショッピングシーズンが、年末のホリデーシーズンを占う上で、完全な指標となることはない。ノートPCの販売動向は、ワイルドカードである「Netbook」製品群の台頭により、特に2008年は予測が難しくなってくる。ほとんどの主要なPCメーカーが、現在は何らかのNetbookモデルをそろえているが、大量に商品を供給できていない。だが、ここ数週間で、この状況にも変化が生じてくるだろう。そして、メインストリームの消費者が、Netbookを使いこなすようになるのかどうかを見極められるのも興味深い。
こうした新製品カテゴリの登場が、不安定な経済事情のニュースと相まって、家電販売業者にとっては、順調に年末のホリデーシーズンへと踏み出すのを困難な状況にしている。
Baker氏は「家電販売業界の人々と意見を交わすと、すべての人が『不確実性』という言葉を用いる状況になっている。『見通しは悪いと考えている』とか、『先行きは良さそうである』といった状況なら対処しやすいが、『この先はどうなるのか、まったく読めない』という状況は、かなり対策を立てづらい」と語っている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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