ウェブで最も普及しているリッチメディアのひとつにFlashがある。Flashの携帯電話版である「Flash Lite」に対応した505iシリーズが2003年にドコモから発売されて以降、普及が進み、現在ではほぼすべての端末がFlashを搭載している。
2007年頃からフルFlashのモバイルサイトを見かけるようになった。マクドナルドやNIKEではすでにフルFlashのモバイルサイトを立ち上げている。
ところがFlashのファイル(swfファイル)は検索エンジンのクローラーが解析できない仕様になっており、フルFlashのサイトはSEOではタブーとされてきた。マクドナルドを例に説明しよう。
Googleモバイルで「マクドナルド」というキーワードで検索してみる。通常であれば、こういった固有名詞検索ではサイトのトップページがヒットするのだが、1位と2位に店舗検索のページがヒットし、3位に会員登録ページが表示される(2008年8月6日時点)。
原因はいくつか考えられるが、トップページにFlashが採用されているため、検索エンジンが解析できないことがいちばん大きな原因だろう。
PCであればHTMLファイルのオブジェクトとしてswfファイルを呼び出すことによりタイトルやメタタグなど最低限の対策を行うことが可能である。
しかし、モバイルサイトでこの方法をとると一部の端末で正しく表示されないため、一般的には直接swfファイルを呼び出す手法がとられる。
結果、検索にヒットしないという事態が発生している。モバイルサイトでFlashを導入する場合には、このあたりのPCとモバイルの違いに配慮しながら別途対策を実施をする必要がある。さもないと、そもそも検索結果に表示されないこともあるので注意してほしい。
8月6日時点におけるPCのGoogleクローラーでは、Flashの中にある一部のテキスト要素はインデックスできるようになってはいるが、モバイルではまだ検索結果にswfファイルが表示されるという事象は確認できていない。
ビジュアルにもユーザビリティにも優れているFlashサイトも多いが、クローラーがFlashに対応できていないため検索結果には表示されない。フルFlashで構築したサイトの場合には、わざわざHTMLのサイトも作成しなければならないため、ユーザーの使い勝手も損なう事態に陥っている。
検索エンジン側もこの状況に手をこまねいているわけではない。2008年7月1日、Flashの開発元であるAdobe SystemsがYahoo!、Googleと提携し、Flashファイルフォーマット(swfファイル)を検索インデックスに取り込めるようにするためのFlash Player技術を提供するというニュースが流れた。
ただ、開発にはまだ時間を要すると思われる。当面はFlashでサイトを構築した場合には別途SEOの施策を施しておく必要がある。この技術提携が進めば、ビジュアル、ユーザビリティ、SEOの3つを兼ね備えた新しいサイトが生まれるかもしれない。
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