ジーエフケーマーケティングサービスジャパン(GfKジャパン)は7月1日、全国の有力DVDソフト取扱店および家電量販店の販売実績から考察した「Blu-rayソフトの販売動向」を発表した。
それによると、Blu-rayハードは順調に普及しているが、Blu-rayソフトは対前年同期比で3桁成長を達成するも、ソフト全体におけるシェアは1%にとどまり、今後はソフトの販促策強化が普及への鍵と予想される。
Blu-rayハード機器の普及状況は、メインとなるBlu-rayレコーダーが、直近5月期の販売数量シェアでレコーダー全体の31%にまで達した。このうち10万円未満の価格帯が33%を占め、既存モデルの値下がりに加えて、今春以降に値ごろ感のあるモデルの投入により、普及が加速した。
また、ゲーム機で唯一Blu-rayに対応しているPLAYSTATION 3(PS3)は、累積販売台数が200万台を突破。Blu-rayレコーダーとPS3を合わせたBlu-ray再生機の普及台数は、2008年内に約450万台に達すると予想する。
一方薄型テレビでは、大画面化とフルHD化が同時に進み、従来の32型主流から37、42型へと大型化が顕著だという。直近5月期の販売数量シェアでは、フルHD対応機は薄型テレビ全体の3割、37型以上のクラスに絞ると8割弱にも及ぶ。これらの傾向は北京五輪を契機に加速すると見られ、Blu-ray普及の強力な追い風となるだろう。
ハードの追い風を受け、2008年1月から5月期のBlu-rayソフト市場は、数量前年比299%、金額前年比215%となり、通常DVDソフトが数量ベースで前年同期比−6%と伸び悩んでいるなか、3桁成長を遂げた。
しかし、DVDソフトを含めた市場全体から見ると、Blu-rayの占めるシェアは依然として数量、金額ベースともに1%にとどまる。そのためDVDの落ち込み分を補完するまでには至らず、前述したハード機器の状況と比べると、かなりのタイムラグがあることは否めない。
しかし、GfKジャパンでは、ハードの環境が整いつつある今、ようやくソフトとハードの普及の温度差を埋める時なのだと見ている。
Blu-rayソフトの販売チャネルの内訳を見ると、家電量販店とEコマースチャネルのシェアが大きい。DVDと比較すると、家電量販店ではDVDが15%、Blu-rayソフトが32%と、約2倍のシェアを獲得していることがわかる。
ニューメディアの導入期は、認知度と消費者の購買意欲を高めるため、ソフトとハードの連動が重要になる。そうした観点から見ると、家電量販店のBlu-rayソフトの映像をディスプレイに映して見せることは効果的であり、Blu-ray市場を牽引する役割を果たしている。
ただし、一般消費者にBlu-rayソフトを幅広く認知させるには、最大の販売チャネルであるメディアストアが積極的な店頭展開をすることが最も重要であると見ている。
2008年1月から5月期に、GfKジャパンのデータ上で販売実績のあったBlu-rayソフトは385タイトルで、うち2割強が同期間に発売された新譜タイトルだった。一方、DVDタイトル数は8万2823で、単純比較しただけでもBlu-rayソフトの絶対数が不足していることがわかる。
ジャンル別では、同時期のBlu-rayソフトジャンルシェアでは、「洋画」シェアが数量ベース73%(金額ベース69%)と他ジャンルを圧倒しており、「邦アニメ」が数量ベース12%(金額ベース17%)と、2ジャンルへの偏りがみえてくる。販売数量ランキングでも、トップ10タイトル中、洋画が8タイトルを占めた。
これらの結果から、現在のBlu-rayソフト市場は、外資系映画会社勢とアニメに強い一部の国内映画会社によって成り立っていることが分かる。市場活性化には、邦画・音楽・趣味教養など、幅広いユーザーへ向けたタイトルの拡充が不可欠であり、参入メーカーの増加によるラインアップ強化が望まれる。
2008年6月には、主要な映像ソフトメーカー、映像機器メーカーを中心にデジタルコンテンツグループ(DEG)ジャパンが発足し、映像ソフト業界各社が動き出した。DEGジャパンの公表資料によると、8月までにBlu-rayソフトは543タイトルに達する予定で、6月以降の3カ月間で180タイトル前後がリリースされることになる。
Blu-rayソフトの市場規模は、2008年末までに50億円強に達し、映像ソフト業界各社の動きが活発化すれば、2009年には現在の約10倍にあたる500億円、2010年には1000億円市場に達する可能性もある、と予測する。
GfKジャパンでは、Blu-rayの今後の拡大は、今年末に向けてハード、ソフト会社の市場活性化策に引き続き注目が集まりそうだ、とまとめている。
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