ジーエフケーマーケティングサービスジャパン(GfKジャパン)は6月4日、家電量販店における過去のスポーツイベント時の販売実績から考察した「北京五輪商戦」の販売動向を発表した。
それによると、薄型テレビ(液晶テレビ、プラズマテレビ)は、大会開始6週間前から販売が増加し、開催1週間後までが商戦の山場となりそうだ。北京五輪商戦を契機に薄型テレビの大画面化に勢いが増し、さらに10万円以下のBlu-rayレコーダーの販売が好調化してデジタルレコーダー販売数量の3割を超えると予想される。
好調が続く薄型テレビ市場では、北京五輪を控え「五輪特需」が期待されている。過去のスポーツイベントをもとに、商戦期間およびその台数規模を予測した。
2004年8月のアテネ五輪および2006年6月のドイツサッカーワールドカップ(W杯)とも、薄型テレビの拡大時期であり、販売台数は前年と比べ大きく成長した。アテネ五輪前後の販売実績と、その前年の実績、アテネ五輪を考慮に入れずに予測した販売数量(単純予測)を比較すると、アテネ五輪開催の8週間前となる6月上旬まではほぼ予測値通りの結果で推移したが、それ以降は実績が予測値を大幅に上回っている。
またドイツW杯開催時には、開催5週間前となる5月上旬以降に予測値を上回る数値が観測され、開催後1週間までこの傾向が続いた。単純予測値を上回った部分はイベント特需と考えられ、年間数量を2〜3%押し上げる効果があったと推計される。
この傾向から、8月8日から開催される北京五輪では、6月下旬から薄型テレビを中心としたデジタル製品の特需が期待される。特需の8週間のうちに、2008年単純予測に対して2〜3%程度の押し上げ効果があると仮定すると、その効果は約25万台規模となる。
なお、アテネ五輪・ドイツW杯の2例とも、一部で懸念されていたイベント後の反動は見られず、北京五輪においても9月以降も反動を受けることなく、夏のボーナス商戦がオリンピック開催により前倒しで6月下旬に始まり、長期化すると予想される。
液晶テレビのうち32インチ以上の数量構成比は、ここ1年では季節変動を除くと大きな変化がみられない。その中でも37インチと42インチモデルの構成比は増加しており、大画面液晶の主流は32インチ一辺倒から、37インチ、42インチへもニーズが拡がっている。
さらに37インチ以上のクラスでは、高画質を訴求したモデルが急伸している。直近5月期の販売数量でみるとフルハイビジョンが前年同月の2倍以上(114%増)、倍速駆動は13倍弱(1164%増)となった。大画面テレビではこれらの機能がないと画面が粗く感じられることがあり、フルハイビジョンや倍速駆動といった高画質化の技術も、大画面化の一端を担っているといえる。
また、プラズマテレビでも42インチが構成比を伸ばしており、フルハイビジョンモデルのラインアップ充実がこの結果に結びついたと見られる。量販店頭では大画面での視聴を訴求しており、北京五輪を契機に大画面化の傾向が加速すると予想される。
北京五輪商戦において、薄型テレビと共に注目されているのがBlu-rayレコーダーだ。日本との時差が少ない分、日中に行われる競技に対する録画需要は高いと考えられる。
Blu-rayレコーダーは、これまで価格の高さが本格普及のネックとなっていたが、ここ最近では実売で10万円を切る値段のモデルも登場し、値頃感が増してきた。これは既存モデルが値下がりしていると同時に、10万円以下で購入できる新モデルが投入されていることが大きい。
昨年11月に発売されたソニーのモデルや、今年3月に松下から発売されたモデルは、それぞれ250GバイトのHDDが搭載されながらも実勢価格は9万円台となっている。これらのモデルにより、4月における10万円未満の価格帯の販売構成比は31%まで急拡大した。普及モデルのラインナップが拡充し、Blu-rayレコーダーも五輪商戦におけるもうひとつの主役となる可能性が高いとGfKジャパンはまとめている。
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