LaVie G タイプJでは、購入時のセレクションメニューによって、ワイヤレスWAN機能を搭載できることがウリのひとつだ。このワイヤレスWANとは、カバーエリアが広い無線通信技術を利用したネットワークであり、アクセスポイントから半径数十m程度でしか利用できないワイヤレスLANとは異なり、広いエリアを「面」でカバーできることが特徴だ。ワイヤレスWANにもいくつかの方式があるが、最近では通信速度やカバーエリアの広さなどの点から、第3世代携帯電話のネットワークが利用されることが多い。
このワイヤレスWAN機能を内蔵したモバイルPCは他社からも発売されてはいるが、まだ市場には数機種程度しかないのが現状だ。ワイヤレスWAN機能を内蔵していない通常のモバイルPCで、3G携帯電話網を利用してインターネットアクセスを行うためには、PCカードタイプやCFカードタイプ、USBタイプなどの通信カードやアダプタを接続しなくてはならない。こうしたカードタイプの場合、スロットからアンテナ部分が飛び出してしまうので、そのまま持ち歩くと、アンテナをぶつけて壊してしまう恐れがあるし、USBタイプの通信アダプタはPC本体とUSBケーブルで接続するので、ケーブルを着脱する手間がかかり、見た目もあまりスマートではない。
しかし、LaVie G タイプJでは、通信モジュールとアンテナが内蔵されており、外観はワイヤレスWAN非対応のモデルとまったく変わらない、すっきりしたフォルムだ。アンテナの出っ張りもないので、持ち運びに気をつかう必要もないのがうれしい。機能としては外付けか内蔵かというだけの差なのだが、モバイル環境の場合は軽さを追求したり限られたスロットを活かすため、実際はこの差をとても大きく感じることが多いのだ。
LaVie G タイプJに内蔵されたワイヤレスWAN機能は、NTTドコモのFOMA HIGH-SPEEDに接続可能だ。FOMA HIGH-SPEEDはHSDPA方式を利用したデータ通信サービスであり、ベストエフォート方式で下り最大7.2Mbpsという高速通信を実現(上りは最大384kbps)している。現時点で、日本国内でサービスが提供されているワイヤレスWANの中では最速となる。なお、FOMA HIGH-SPEEDのエリア外では、W-CDMA方式で接続が行われるが、その場合の通信速度は下り最大384kbps(ベストエフォート方式)だ。
このFOMA HIGH-SPEEDを利用するには、NTTドコモと契約を結んで、電話番号などの情報が登録されたFOMAカードを入手し、そのFOMAカードを本体に装着する必要がある。NEC製PCの場合、NEC DirectでLaVie GタイプJを購入したあと、そのままNTTドコモの回線申込みサイトで家にいながら契約手続きができるので、ドコモショップに行く必要もなく契約もスムーズだ。
モバイル通信となると料金も気になるが、NTTドコモでは、FOMA HIGH-SPEED対応のデータ通信定額制プラン「定額データプランHIGH-SPEED」を提供している。定額データプランHIGH-SPEEDは、2段階定額制で、50万パケットまでは月額4,200円で、50万パケットを超えて70万パケットまでは4,200円+超過分(1パケットあたり0.0126円)、70万パケット以上は月額6,720円(※2)で使い放題という料金体系になっている。Flashなどが多用されたリッチなWebサイトを閲覧したり、大容量ファイルのダウンロードなどを行っていると、通信量はすぐに数十万パケットを超えてしまうが、定額データプランHIGH-SPEEDなら、いくら使っても月額6720円を超えないので安心だ(実際には、ISPの料金もかかる。mopera Uの場合は月額840円)。※2:期間限定割引または2年割引(仮称)契約時
なお、当初は、この最大6,720円という料金は2008年8月までの期間限定の特別料金とされていたが、2008年9月から、2年間の契約を条件として、そのまま上限額6,720円で使い続けることができる「2年割引(仮称)」が提供される予定だ。利用制限が多いとのイメージもあった定額データプランHIGH-SPEEDだが、Webやメール、Windowsアップデート、アンチウイルスソフトの更新、RSSリーダー、地図ソフト、FTP、VPN通信はもちろん、ストリーミング型動画ではないYou Tubeやニコニコ動画なども利用ができる。(ストリーミング型の動画サイトやP2Pソフト、メッセンジャーなど一部のインターネットサービスは利用できない)
実際にいくつかの場所で、LaVie G タイプJのワイヤレスWAN機能を利用してインターネットに接続してみたが、接続までの時間も短く、通信速度も高速で快適だった。スピードテストサイトを利用して通信速度を計測したところ、今回試すことができた3.6Mbps対応モデルでも2〜2.5Mbpsの結果が出た。理論値まではいかないものの、十分ブロードバンドと呼べる速度である。筆者は普段、FTTH+無線LANというブロードバンド環境でPCを利用しているが、その環境と比べても、体感的にはほとんど差がない印象であった。(6/20現在、3.6Mbpsモデルは生産終了。現在発売中のモデルは更に高速な7.2Mbps対応モデル)
また、なんといってもFOMAの人口カバー率は100%、さらにFOMA HIGH-SPEEDの人口カバー率も98%を達成しており、ほとんどの場所がサービスエリアとなっている安心感がある。FOMA HIGH-SPEEDに対応したLaVie G タイプJなら、いつでもどこでも気軽にインターネットにアクセスできて非常に便利だ。実際、今回のレビュー中に高速で移動する電車の中から通信も行ってみたが、特に問題なく接続が行えた。ビジネスマンなどの忙しい人にとって、どこからでもメールチェックやWebブラウズが可能なLaVie G タイプJは、強力な味方となるだろう。いったん、この快適さに慣れると、もはやワイヤレスWAN非対応のモバイルPCを使う気にはなれないほどだ。
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