ソニーは6月11日、シリコン基板の裏側から光を照射することで、同画素サイズの同社従来型画素構造のCMOSイメージセンサに比べ、SN比で+8デシベル(感度+6デシベル、ノイズ−2デシベル)を実現し、撮像特性を大幅に向上させた裏面照射型CMOSイメージセンサ(画素サイズ1.75um角、有効画素数500万画素、60フレーム/秒)の試作開発に成功したと発表した。
従来の表面照射型では、受光部(フォトダイオード)を形成した基板表面側の上の配線やトランジスタがオンチップレンズで集光した入射光の妨げになり、画素の小型化や光の入射角変化における課題となっていた。
裏面照射型では、シリコン基板を反転させた面(裏面側)から光を照射させることで、配線やトランジスタの影響を受けることなく単位画素に入る光の量を増大させるとともに、光の入射角変化に対する感度低下を抑える。その一方で、裏面照射型では通常の表面照射型と比較し、その構造や工程に起因したノイズや暗電流、欠陥画素、混色など、イメージセンサの画質低下につながる課題が発生し、SN比を低下させてしまう問題もあった。
そこでソニーでは、裏面照射型に最適化した独自のフォトダイオード構造とオンチップレンズを新たに開発し、従来型と比較して感度+6デシベルの改善およびノイズ、暗電流、欠陥画素を低減し、暗時ランダムノイズの−2デシベルの改善を実現した。また、高精度アライメント技術により、混色の課題も克服した。
同社では、この裏面照射型CMOSイメージセンサの開発により、民生用のデジタルビデオカメラやデジタルスチルカメラのさらなる高画質化の実現に貢献していくとしている。
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