なくならない著作権侵害行為を取り締まるため、実演家団体が腰を上げた。違法行為をしている携帯電話、PCサイトを監視、警告する。
社団法人日本芸能実演家団体協議会 実演家著作隣接権センター(CPRA)は6月6日、違法サイト監視サービス「音楽自警団(MUSIC GUARDIANS)」の運営を開始する。
ファイル交換ソフトや動画投稿サイト、着うたサイトなどにおいて、著作権を侵害する行為を取り締まるとともに、知らないうちに権利を侵害している人に向けた啓発活動をするのが狙い。具体的には、PCサイトおよびモバイルサイトを監視し、法的執行に至る前に、該当する違法サイトの管理者や違法コンテンツをアップロードした人に対して警告する。
また、PtoPファイル交換ソフトを使った著作権侵害行為にも対応するため、クローリングをして調査する。
CPRAが開設したモバイルサイト「MUSIC GUARDIANS」(http://musicguardians.jp/qr/:携帯電話からのみアクセス可能)ではユーザー登録を受け付け、各ユーザーが違法サイトを見つけ次第、MUSIC GUARDIANSの「GUARDIANS本部」にURLを通報してもらうようにする。本部は通報を元にサイト管理者に警告文を通達する。また、ユーザーランキング制度を導入し、より多くの違法サイトを通報し、違法サイトを削除させたユーザーには特典を用意する。
CPRAでは、「法的にこうした(著作権侵害行為が多い)状況に対処するため、著作権法を改正し、日本でも韓国や米国、ドイツのような強制取り締まりや、ユーザーに対する大規模な訴訟がされることも十分考えられる。しかし、我々はそうしたユーザーに対する強制的な法執行がベストな選択であるとは考えていない」とし、著作権者と利用者が自主努力することで違法配信を撲滅することが重要と訴える。「取り締まられるのは、他人の音楽を悪意を持って利用している一部の心ないユーザーだけであるべき」
「音楽は『タダ』ではない。多くのアーティストやアーティストを支えるスタッフの知恵や努力、高い創作意欲があってはじめて商業音楽として世に出られる。生まれてきた音楽に対して、正当な対価が支払われる環境がなくなれば、アーティストは音楽以外の手段で自分たちの生活を支えなければならなくなる」
無料で勝手に音楽ファイルが配布されることに対して、プロモーションにつながればいいという声も一部にはある。しかし、この点については「ネット上の違法ファイルには音楽に対して正当な対価を回収するモデルが埋め込まれていない。『プロモーション』として無料で音楽を提供する場合でも、正当な対価につながりやすいところに出さなければ意味がない」とし、違法行為とプロモーションを混同すべきではないと訴える。
ただし、ネット上で手軽に音楽を楽しみたいという要望は多い。これについては、「ネットで合法的に試聴できる機会を整備しなければならないことは十分に認識している。CPRAは継続的に音楽ファンのニーズをくみ上げ、合法的にネットで楽しめるような環境作りをする」としている。
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