政府の知的財産戦略本部はこのほど、デジタルコンテンツの流通促進の強化を目的に著作権法を改正する意向を固めた。6月中にもまとめる予定の「知的財産推進計画2008」で早急に解決すべき課題として提言し、2009年度以降の法改正を目指す。
知的財産戦略本部では、2008年3月に「デジタル・ネット時代における知財制度専門調査会」を設置。これまで3回の会合を開催し、ネット社会における著作権制度の役割について議論しながら、解決すべき具体的な問題点の抽出と課題の整理にあたってきた。
一方、現行の著作権法は、1970年の制定以降、逐次改正が行われてきたものの、近年の急速なデジタル化・ネットワーク化の進展により、著作権法制定当時には予想できなかった新しい事態が生まれ、今後の国際社会において我が国が競争力を強化するためには、制度の見直しが急務とされている。
具体的には、現在、サーバへの情報の収集や格納が著作権法上の複製等に該当するおそれがあるため、事業者は法的リスクを避ける観点から海外のサーバを利用せざるを得ない状況となっており、円滑な事業活動に支障が生じていることから、検索サービスの適法化やコンテンツの配信等に関わるネットワークの経路における中継サーバ(キャッシュサーバ)への蓄積やコンピュータ内の主記憶(RAM)への蓄積など、コンテンツ流通にともなう一時的な蓄積が著作権法上の複製に該当するおそれがあり、新しいサービスを提供する際の不安定要因となっていることから、通信過程における一時的蓄積の法的位置付けの明確化などが、急務の課題として挙げられている。
また今後は、インターネットを活用した新しいビジネスにおけるコンテンツの二次利用を円滑に進めることを目的とした新たな枠組みや、著作権者等の利益を不当に害しないと認められる利用を包括的に合法化し得る一般的な権利制限規定の導入、ネット上に流通する違法コンテンツへの対策の強化策についても検討を行っていくという。
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