モバイル有害サイト規制法案は地方で報道されていない--高校PTA代表が周知徹底を要請 - (page 2)

「違法」に比べて基準があいまいな「有害」

 シンポジウムの最後に開かれたパネルディスカッションでは「法規制と民間の取り組みの最適バランスを考える」と題して、参加者が意見を交わした。パネリストの1人である慶応義塾大学准教授の金正勲氏は、有害サイト規制法案で留意すべき点として、

  1. 世代間ギャップから生じる極端な対応措置に至っていないか
  2. 携帯電話の使用が犯罪や事件の発生につながるという、検証されていない仮説に基づいた規制のあり方に対して、正しい認識ができているのか
  3. 感情論に走っていないか

――の3点を挙げ、「違法という言葉にはある程度の基準があるが、有害は主体と文脈に依存する言葉で、基準があいまい」と問題点を指摘した。

 青少年と携帯電話の関係をめぐる問題に対して、公的機関と民間がどのような役割を果たすべきかについては、「民間が主体となり、公的機関はそれを後押しする」という意見でパネリストらの意見はおおむね一致した。

 「条件整備をするのが公的機関の役割。中身については民間がやるべき」(EMA代表理事で一橋大学名誉教授の堀部政男氏)、「国がやるべきことは教育。インフラ整備と現状に沿ったカリキュラムの作成、人材育成が必要だ」(特定非営利活動法人CANVAS副理事長の石戸奈々子氏)、「有害という、主体によって基準が変化する情報に対しては多様な判断が求められる。公的機関ではそれを確保することはできない。民間が担保すべき」(EMA事務局長広報担当の岸原孝昌氏)

 また、「IT教育について文部科学省はそれなりに予算をつけているが、実際の運用は地方自治体に委ねられる。しかし財源が少ない地方では、実質的に動かすことができないでいる」(高橋氏)という声が上がり、これにに対しては「国にIT教育特定財源を作ってほしい。法整備もいいが、将来に役立つ政策をもっとやるべき。できるだけ民の自主性に任せ、国はそれを応援していく体制にしてほしい」(尾花氏)といった提言もなされた。

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