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「放送側が番組の見逃し需要に対応していればYouTubeの成功はなかった」--角川会長が分析

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 角川グループホールディングス代表取締役会長兼CEOの角川歴彦氏は5月19日、東京の明治記念館で開催された、特定非営利活動法人ブロードバンド・アソシエーション主催「第9回ブロードバンド特別講演会」に登壇し、「通信と放送プラス個人動画サイトの総合プラットフォームはどこが成功するか」をテーマに講演した。

  角川氏は、講演の中で「個人動画投稿サイトで活動するアマチュアのコンテンツ制作者が評価される仕組みが必要」と指摘。その受け皿を国内でしっかり作る必要があるとした上で、映画、スポーツ中継、地上波で視聴者が見逃した番組の配信などとともに「個人動画投稿サイトまでを取り込んだ総合プラットフォームを構築することが成功への鍵を握る」と述べた。

角川グループホールディングス代表取締役会長兼CEOの角川歴彦氏 角川グループホールディングス代表取締役会長兼CEOの角川歴彦氏

 角川氏は、デジタルネットワークによる流通ビジネスを、劇場(第1次)、パッケージ(第2次)に続く「第3次流通」に設定。「ビデオオンデマンド(VOD)が注目を集めるなど、自社も含め、2次流通に依存してきた事業者に危機が訪れている。自ら第3次流通に乗り出さなければならない時期が来た」と角川グループがデジタルネットワーク系サービスに力を入れる理由を説明した。一方、競争環境の変化や技術革新が「非連続的に発生し、過去のノウハウを活かしにくい状況にある」とし、非常にリスクの高い事業展開であるとの認識を示した。

 YouTubeとの協力体制については「YouTubeにはコミックマーケット(コミケ)に近い雰囲気を感じた。かつて、コミケから優秀な作家を発掘してきた角川にとって、今回も同様の取り組みができると感じ、日本で事業展開するための方法論を(YouTube側に)示した」と説明。また、中国やインドなどからも同様のサービスが日本に進出してくる事態を想定し、「どうしたら正規の事業者になれるのか、日本の方から方法論を指し示すべき。国際協約についても、彼らを正規に認めるためのルール整備に進む時期が来ている」との持論を展開した。

YouTube成功は放送事業者らのミス?

 NHKが12月から開始を予定している「見逃し需要」への対応については、「大きなマーケットになる」と予測。「視聴者は、テレビ局が送り出す番組表にのっとって番組を視聴することが面倒になってきている。都合のいい時間に都合のいい場所で視聴したい、という要望がYouTubeの利用へと視聴者を走らせた大きな要因であり、YouTubeが短期間で多数のユーザーを獲得できたのは、我々も含め、送りだし側がニーズをとらえきれていなかったから」と分析。「2年前に“見逃しテレビ”を立ち上げていれば、YouTubeは成功しなかったとすら思う」とした。

  また、自らもメンバーに名を連ねるデジタル・コンテンツ法流通フォーラムが3月に公表して話題を集めた「ネット法」については、「現在の著作権法はデジタルネットワークへの対応が手つかずの状態。これは、世界的に対応できていない。特に日本は世界でも高いインフラ普及率を持っているため、矛盾が大きくあらわれ始めている」と提案の背景を説明。「権利者と許諾者を分けて、許諾者が責任をもって権利者に対価を支払うというのがネット法。関係者の理解を求めたい」とした。

 

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