HDR-TG1はハイビジョンムービーの将来性を強く感じさせる製品だ。これだけでも十分に完成しているが、もっと別な切り口でのコンパクトハイビジョンムービーの登場を期待してしまう。前述したバッテリ対策はもちろん、ワイドコンバーターやズームマイクなどがあれば、より撮影を楽しめるだろう。例えば単眼鏡と接続できるアダプターがあれば、バードウォチングに一役買うのではないだろうか。
小さい物をそのまま使うというのも素晴らしいが、小さい本体に好みでオプションを取り付けて遊べるようなコンセプトのムービーは作れないかものかと考えてしまった。それらのオプションを1つのアタッシェケースに入れて持ち歩く。そんな子どものころに遊んだ、スパイ道具セットのようなムービーがあっても面白いだろう。
筆者はHDR-TG1を使っていて、ある銀塩カメラを思い出した。いまは廃盤になったコンタックスの「CONTAX T2」というカメラだ。コンパクトカメラながら、本体にはチタンを採用し、レンズにはカールツァイスを採用していた。ほとんどオプションなどには対応せず、単体だけの撮影を楽しむ製品だった。余分な機能を排した潔さと、小さいながらも本格的な撮影品質だったので、今も愛用している。
このCONTAX T2とHDR-TG1には同じ匂いを感じる。開発者はバッテリ容量が少ないことも、ワイドコンバーターをユーザーが欲しがることも見通した上で、本機のスペックにまとめたのだろう。
これまでホームムービーと言えば、運動会など子どもの成長を記録するファミリーユースの製品がほとんどだったと思う。そういった製品には十分なバッテリ容量もあり、豊富なアクセサリーにも対応する。使いやすさはこの上ないのだが、決まり切ったデザインには生活感が漂っているのかもしれない。
一方HDR-TG1は携帯性を最優先にしたデザインで、ハイビジョンのカジュアルな使いこなしを提案している。画質についてはもっと解像感が高ければいうことなしだが、サイズを考えれば上出来と言える範囲だろう。記事中で筆者は、バッテリの駆動時間が短いことなどにつっこみを入れたが、そういう部分が気になる人はハナから、選ぶべきではない製品だ。
スタイリッシュなデザインのムービーをシンプルに使いこなせる人のために……そんな開発者の気持ちに共感できるユーザーなら、絶対に抑えたいムービーだ。
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