CitigroupのアナリストMark Mahaney氏は2月のレポートで、YahooがGoogleのシステムを利用して検索広告を提供することの金銭的メリットは大きいと述べ、そのレポートは多くの報道で取り上げられた。YahooとGoogleの提携が真実味を増す中、Mahaney氏が新たなレポートを発表した。レポートによるとYahooは2008年、(Googleとの提携によって)10億ドルの増分キャッシュフローが見込めるという。
しかし、この大胆な数字は、Yahooが検索広告を完全にGoogleへアウトソースするという前提に基づいている。YahooとGoogleの提携は今週にも発表されるという憶測もあるが、このような数字が現実のものになることを今から期待してはならない。計画に詳しい情報筋によると、YahooとGoogleの提携話はより限定的なものであって、大規模なアウトソースにはならないという。
Googleと全面的に提携することはYahooにとって危険な綱渡りである。1クリックあたりの平均売上はGoogleのほうが高いので、YahooがGoogleに依存すればするほど、Yahooにとっての実入りが大きくなる。しかし、依存し過ぎた場合、社内での広告の開発が意味をなさなくなるほか、独占禁止法に抵触する懸念が出てくるうえ、Yahooにとって最大のライバルだったはずのGoogleに広告市場でのリードを許すことになる。
どれだけのコストを抑えられるかも考慮しなければならない。Yahooが完全なアウトソースを断行しないとなれば、Panamaシステム(検索結果に表示されるテキスト広告を販売するのに利用するYahooのシステム)にまつわる従業員給与、研究費用、運用費用は抑制できない。
このように考えると、Mahaney氏のシナリオのうち、Yahooが100%アウトソースするという話はあてにしない方が良いだろう。Mahaney氏は25%のアウトソースが実施された場合には、Yahooが2008年に EBITDA(減価償却前営業利益)ベースで22億ドルの利益、2億5100万ドルのキャッシュフローを計上すると予想している。
Silicon Alley InsiderのHenry Blodgett氏は、(Googleへのアウトソースによる)Yahooへの実入りはYahooの財務を改善するだろうが、何年にも渡って継続的に効果が続くものではないと述べている。Blodgett氏の結論は、広告の一部をGoogleにアウトソースするのは「賢い」選択だが、「金融業界が期待している起死回生の手段とはならない」というものだ。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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