総務省の「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」は4月25日、第6回会合を開催し、中間報告書の取りまとめ案を公表した。検討会には増田寛也総務大臣も出席し、この問題に対して政府が高い関心を示していることを印象付けた。
これまでの検討会の議論は、ほとんど青少年に対する携帯電話のフィルタリングサービスに関するものだった。このため、中間報告書についても、実効性のある携帯電話のフィルタリングサービスをいかに作り、普及させるかということが焦点になっている。
報告書案では、現在携帯電話事業者から提供されているフィルタリングサービスが画一的で、利用者がアクセスする情報の範囲をあまり選べないこと、また閲覧できないサイトが広範囲にわたることを問題視した。その上で、今後は、利用者がアクセスできるサイトを個別に選択できるような、多様性を持ったサービスにするべきと提言した。
また、同時に民間の第三者機関が、青少年が見ても問題のないサイトを認定するようにし、この認定を受けたサイトであればフィルタリングサービスの利用者でもアクセスできるようにすべきとした。
検討会はこういった仕組みを通じて、それぞれの関係者が役割分担をし、青少年を違法、有害情報から守るべきとしている。まず保護者には子供がモバイルインターネットを利用することについて、責任を持って是非を判断すること。携帯電話事業者にはフィルタリングサービスの改善と、導入促進の強化を求めた。
コンテンツ事業者は青少年保護対策を徹底するとともに、第三者機関への積極的な参加や社会貢献活動をすべきとしている。また、第三者機関に対しては、客観性、公平性を担保すること、基準の作成等に関して透明性を持たせること、社会的信用を得るために啓発、教育プログラムなどを検討することを求めた。 また、政府の役割として、対応策の明確化と必要な支援、指導、積極的な周知啓蒙活動、必要な規制の検討などがあるとした。
増田総務大臣は同日、今回の取りまとめ案の内容を各携帯電話事業者に対して要請した。また、研究会の場では、硫化水素中毒による自殺者が相次いでおり、インターネット上でその実行方法などに関する情報が出回っていることに触れ、「違法情報はもちろんのこと、有害情報についても、きちんと対応していく必要がある」と危機感を示した。
検討会は今後、最終報告書の取りまとめに向けて、有害情報と違法情報の両方に関する対策を議論する。また、国際的な連携も念頭においており、そのきっかけとして、中間報告書を英文化して公開する考えだ。なお、次回の検討会は6月上旬に開催される予定となっている。
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