行動、売れ筋、顧客単価--あらゆる面でPCと異なるモバイルECの世界 - (page 2)

金井統、原田紀子(ドコモ・ドットコム)2008年04月23日 12時55分

モバイルECの業態はコンビニに近い

 次に、モバイルEC利用者の傾向について見ていこう。特に顕著な違いが見られるのが年齢で、25歳くらいで一つの境目ができているようだ。現在25歳より下の世代は、高校時代から携帯電話に触れている。携帯電話からのブログ・SNSへのアクセス頻度が高かったり、モバイルで情報やコンテンツを検索するスピードやスキルにも長けている。その為、モバイルサイトの利用に馴染んでおり、モバイルECサイトでウィンドウショッピングをするような「非目的買い」をする人も増えている。モバイルECは25歳未満の若い層がボリュームを形成しているので、ファッションブランドでも若年層の支持が強いブランドの人気が高い傾向がある。

 最近では40代くらいの主婦層にもモバイルECの利用が広がっている。特にカタログ通販の決済手段として利用したり、「ご当地お取り寄せ商品」などの購入に利用したりするケースが多い。こうした層は、ちょうど携帯電話を積極的に利用する若年層を子供に持っているため、子供から教えてもらう形で利用が広がっているものと考えられる。

 また、性別によっても売れ筋商品のジャンルに異なる傾向が見られる。女性はファッションや化粧品、ダイエット商品などが中心だが、男性は書籍やCD・DVDなどに偏る傾向が見られる。女性のファッション市場においては、モバイルサイトも多くブランドが充実しており、衝動的な目的買いを誘えるだけのブランド、商品が揃っているため、商品が売れやすいと考えられる。

 「生活密着度が高い」「ユーザーは欲しい時にすぐ購入できる」「旬の商品に人気が集中する」という特性を考慮すると、モバイルECの販売方法は、旬の売れ筋商品をピックアップして、売れる商品と売れない商品を素早く入れ替える、コンビニエンスストアの形態に似ているといえる。例えば、シーエー・モバイルが運営する「ONE★FESTA」などは、1週間でほとんどの商品を入れ替えており、来店頻度の高いユーザーに旬な商品の衝動買いを促す仕組みを整えている。

 これに対し、PCのECサイトは、画面が大きく検索しやすいことから、まずは商品ラインナップを増やしていくというゼネラルマーチャンダイズストア(GMS:日用品を総合的に扱う店舗)の形態をとっており、モバイルとは販売形態が大きく異なっている。PCとモバイルというそれぞれのデバイス特性に適したマーチャンダイジングを行わなければ、大きなロスを生むことになるといえるだろう。

何と連携するかで、モバイルECのあり方は変わる

 こうしたモバイルECの特性を考慮した上で、今後モバイルECサイトを展開したいという場合に注意すべきポイントをいくつか挙げておこう。

 前提として考慮する必要があるのが、その企業におけるモバイルサイトの位置付けだ。モバイルECサイトは大きく分けて5つのタイプが存在するが(下表参照)、それぞれのタイプに応じてモバイルECの位置付けを変え、相乗効果を出すように戦略を練る必要がある。

モバイルECサイトの分類 表:モバイルECサイトの分類

 例えば、すでにPC向けに展開しているECサイトの場合、モバイルの特性に合わせて販売方法を変え、モバイルでも購入しやすいようにする。そうしてユーザーの購入手段を増やし、機会ロスを減らすのが効果的だ。

 カタログ通販企業の場合、商品の入れ替えが四半期に一度のため、商品をどんどん入れ替えるようなモバイル向けのマーチャンダイジングは難しい。そこで、携帯電話を決済ツールとして利用させた方が効果が高くなる。

 テレビショッピングの場合、モバイルと「衝動買いを促す」という点において共通しており、相乗効果が高い。カタログ通販と同じように、決済ツールとしての利用を促すことを意識してサイト運用をすることにより、売り上げ拡大が望めるだろう。

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