mixiは、SNSならではの広告手法も話題になる。それらを展開する営業部では、ネット広告の基本的な知識を持ちつつ、既成概念にとらわれない人物が活躍しているそうだ。梅崎氏は、「そうでなければ、SNSならではの広告を発想する前の段階で止まってしまいます。例えば他社で弊社と同じような広告展開をやっているところが多いかというと、ほとんどないと思いますので、経験を持っている人というのはあまりいないと思います。そこに関して特別経験は強烈には問わない」という。
営業部の中で既存枠の販売とSNSならではの広告という、世の中にない新しいプロモーションを企画する仕事を同時に考えていく。これまで展開したSNSならではの広告事例では、エースコックとタイアップしたカップ麺の広告、動画を用いたバイラル広告、mixi上でドラマを展開しながら広告主様の商品をプロダクトプレースメントとしてプロモーションしていく「ミクドラ」など、非常に多くの広告メニューを開発した。さらに、日産と共同でデスクトップガジェットを配布するなど、常に新しい試みが行われている。
もう一つ、ミクシィについて気になるのが新規事業だ。2007年11月の決算説明会では、代表取締役社長の笠原健治氏が「デジタルコンテンツへの課金」「ECの展開」「海外での『mixi』の提供」の3点を新規事業として掲げている。
これらについて、すでに社内では動き出しているそうだ。最近、発表された中国進出は、2007年7月に立ち上がった新規事業室が推進しており、4月〜5月にも子会社の「ミクシィ上海(仮称)」を設立する計画だ。外国語を得意とする人材を積極的に採っているという。
以前に「グーグルに負けない、楽しい『仕掛け』満載のミクシィ新オフィス初公開」という記事でも紹介したが、ミクシィのオフィスは充実した設備が用意されている。ビリヤードやダーツ、卓球などの遊戯施設のほか、仕事中にもリラックスできるマッサージチェアもある。
こういった設備を置いた目的は、まずスタッフのコミュニケーションだ。また採用面のメリットもゼロではないという。「会社のブランディングとして、スタッフの働く環境のことをちゃんと考えているというところは、形としてアピールしていきたいという思いがあります」(梅崎氏)
職務制度ではエンジニア向けに、グーグルでおなじみの「20%ルール」とよく似た、「ODF」(One Day Free)という制度が用意されている。1週間のうち1日を自分で定めた研究開発のために利用できるというものだ。これまでにも実際にODFから生まれたサービスがある。例えばmixiミュージックレコメンデーション機能、プリクラのように写真を加工できる「キラミク」(mixiモバイルで利用できる機能)、お薦めのコミュニティを教えてくれるコミュニティブラウザ(インディーズ機能)などがその代表だ。
さらに、ネット上では公開されていないが、ミクシィの受付前に設置されているモニターで見ることができる「グーグルマップ APIとのマッシュアップアプリ」もODF出身だという。mixiが4周年を迎えてもいまだにベータ版であり続けるのは、このような制度によって、次々と新しいアイデアが形となっていくからだろう。
2008年のミクシィの人材戦略は、中途から新卒への切り替えだ。「中途に関してはペースを落とすと思います。現状新卒採用も動いていますし、2008年の4月には新卒第1号が入社してきます。人事のスタッフも増えていますし、あとは現状ミドルマネジメントポジションの人たちもある程度マネジメントの経験を積んでレベルアップしてきているので、そういった意味ではしっかり体制を作っていけるかなと思っています」(梅崎氏)
サービス面ではミッションに立ち返る。「いま20代前半から30代前半の層にすごく浸透してきているサービスといわれますが、まだまだその部分を追求していく。同時に幅広い年齢層にも使ってもらえるようなサービスにするためにも、もう一度原点に戻ってコミュニケーションを促進する機能というものをしっかり極めていきたい」と梅崎氏。目指すのは、あくまで“コミュニケーションのインフラ”だ。
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