この4つの分類を紹介した上で、濱野氏は「ニコニコ動画は、ライトユーザーからヘビーユーザーまで様々な段階のプレーヤーを、ひとつの画面にうまく収めている。操作するためのインターフェースは簡素化されており、どんなユーザーのコメントも一緒くたに表示されるのがポイントだ」と語る。
中国の動画サービス「mojiti」(2007年12月でサービスを休止)のように、動画にコメントを付けられるサイトは海外にもあるが、作り込みすぎていて気軽にコメントできなくなっているケースが多いという。ニコニコ動画には適度なユルさがあり、初心者に優しい分、凝ったことをしようとすると、途端に難しくなる。しかし、だからこそ、その壁を越えてアイデアにあふれたコメントをつけた“レベル4”の職人が称賛される。
この構造が、濱野氏いわく「情報経済論における“注目の経済(アテンションエコノミー)”の概念のように、誰が最も注目を集められるか、というゲームが成立している」ニコニコ動画において、大きなポイントになっているようだ。
ネットゲーム業界では、市場の伸び悩みからライトゲーム化が大きなテーマになっている。しかし濱野氏は、「だからといって、トランプゲームのように簡素化しても意味がない。ニコニコ動画は、疑似同期でユーザーが時間に縛られず、どんな時間でも共有が可能。そして誰でも書き方を知っている「文字」を使うということで、複雑な操作法を学ぶことなく誰にでも簡単に参加ができる」と話し、内容の濃いゲームであってもインターフェースを工夫することでユーザーを増やすことは可能と指摘した。
また、ウェブ業界も学ぶべきところは多いという。ゲームは、初心者にもやさしいというのが第一条件にあり、そうでない場合は“クソゲー”と呼ばれてしまう。こういったノウハウは、ウェブ業界に不足している部分だ。ニコニコ動画は初心者でも操作が簡単な上に、初心者が参加することでコミュニティが活性化するようになっており、参加するモチベーションが上がりやすい。また、初心者の行動がほかの初心者に対するチュートリアルになっている部分もあるという。
濱野氏は「ウェブにおけるソーシャルブックマークなどが思うように流行しないのも、特定の人たちだけにしか理解されていないからだと思う。ウェブ業界の人たちは、もっとニコニコ動画を評価すべき」と語った。
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