2002年半ばに世界の検索エンジンシェアで首位に立って以降、独走を続けるGoogle。米調査会社コムスコアの調査によれば、2007年12月の段階で、Googleの世界シェアは62.4%と、2位のYahoo!(12.8%)、3位の中国・百度(12.8%)以下を大きく引き離している。
一方、日本シェアにおいては、2007年7月時点でヤフーにリードを許しているものの(ヤフー47.4%に対し、Google35.0%、コムスコア・ジャパン調べ)、ヤフーが2006年7月から2007年7月の1年間でシェアを18.6%減らしたのに対し、Googleは7.2%増加しており、その差は急速に縮まってきている。
しかも同社は、そうした地位に満足することなく、2005年2月にGoogleマップを、同6月にはGoogle Earthの提供を開始するなど、多くのユニークな新サービスをリリースし続けている。
特にここ数年は、2006年7月にKDDIのEZwebへの検索サービスの提供を開始し、2007年4月にモバイルGmailをスタート、同11月には携帯端末用のオープンな総合プラットフォーム「Android」の開発を発表するなど、モバイル分野への進出が目立つ。今年に入ってからも、NTTドコモと検索サービスの提供などに関する業務提携を発表している。
世界15カ国に18カ所のオフィスを構え、極めてグローバルな企業として知られる同社だが、人事部長の吉田善幸氏によれば、そうしたモバイル分野での新サービスは、日本法人であるグーグル株式会社発のものが多いという。
「日本のモバイル市場と技術は、世界的に見ても一番進んでいますし、ユーザーのモバイルに対する要求レベルも高い。だから、日本のモバイル市場を指標に、新たなアイディアが生まれるのは必然だと思います」
とはいっても、日本法人のエンジニアは、単に日本に身を置いているだけで、実際の開発プロジェクト自体は、各国オフィスの密なる意思疎通の上で、グローバルに進行しているそうだ。技術職が日本の学生に不人気である理由について、吉田氏は、「根幹部分の開発は本国主導で、日本法人は単にローカライゼーションを担うだけ、というイメージを、特に外資系IT企業に対して抱いているせいではないか」と推測した上で、Googleはそうではない、と強調する。
「先ほど述べたモバイルのように、グローバルな開発プロジェクトを、日本主導で行うケースも多いです。また、当社の創業者ラリー・ペイジとサーゲイ・ブリンはともにスタンフォード大学のコンピューター・サイエンス研究室出身ですから、社内におけるエンジニアのステイタスは非常に高く、尊敬されています。企業としても、彼らの好奇心や創造性、革新力に依拠して成り立っていますから、開発にあたって、技術者に対し上から何かを指示するという発想自体、全くないですね」
実際、様々な取材を通して感じるのは、Googleほど、優秀な技術者や学生の関心を惹きつけている企業はない、ということだ。それは、同社のエンジニアの遇し方、テクノロジー主導の社風が、広く彼らの間で知られていることを表している。それでも吉田氏は、採用を予定通り進めるため、PRの面で、まだまだチャレンジの余地はあると考えているようだ。
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