【開発者インタビュー】日本ビクター/HP-FX500--ヘッドホンの常識を覆す“木の振動板”にチャレンジ

堀江大輔(D☆FUNK)2008年02月29日 15時20分

 ヘッドホンの振動板に木を使う!? ヘッドホンの常識を覆す工法にチャレンジし、従来のヘッドホンでは得られなかった音の響き、広がり、原音の再現を可能にした前代未聞のウッドドームユニット。いかにして商品化に結びついたのか、日本ビクターの設計陣と商品企画の方たちに話を伺った。

木を使ったヘッドホンを作れないだろうか? という思い

澤田孝氏 日本ビクター株式会社
モバイルAV事業グループ
AVCアクセサリーカテゴリー
商品企画室 主査
澤田 孝氏

--ここ数年、デジタルプレーヤー付属のヘッドホンでは飽き足らない人々が増えてきています。メーカー各社からもさまざまなタイプのヘッドホンが発売されていますが、ビクターが目指した「音の良いヘッドホン」開発のきっかけとは?

澤田 木を使ったヘッドホンをできないだろうか? デジタルプレーヤーが一般化していくなかで、そんな思いをふくらましていました。付属のヘッドホンでは飽きたらず、密閉型のインナーイヤーヘッドホンに買い換える、音にこだわりをもつ人が増えている。そういう人に、ビクターとして、理想的なインナーイヤーヘッドホンを提供できないかだろうか、と。

 ビクターの音質とは原音を追求することです。デジタルプレーヤーに高音質を求めるお客様へのひとつの答えとして、わが社が長年つちかってきた、木の振動板を使ったヘッドホンを製作できないかという相談を技術に投げかけたんです。本当に、そんなヘッドホンが実現できるかどうかわからなかったんですが……。

伊藤誠氏 日本ビクター株式会社
モバイルAV事業グループ
AVCアクセサリーカテゴリー
技術部 第1設計グループ
主席技師
伊藤 誠氏

伊藤 澤田からの提案は渡りに船の話でした。私たち技術チームは、偶然に木の振動板を使ったヘッドホンの研究をスタートしていたところだったんです。

 ビクターの研究所では、20~30年前から、振動板として木を使う研究はスタートしていました。最初に完成したのはウッドコーンスピーカーですが、ウッドコーンなら、音として“もの”になることがわかった。

 だったら、ヘッドホンにもいかせるのではないかという発想があったんですね。ものを作る側からしても、木のよさはわかっていたので、商品として開発したい思いがありました。

ビクター/HP-FX500

世界初ウッドドーム振動板を採用したインナーイヤーヘッドホン。優れた音響特性を持つ木材を、薄膜加工と成型加工という2つの独自技術によりヘッドホンへと仕上げた。注目の木材には伝搬速度と内部損失に優れたカバ材を使用。ヘッドホンの筐体にも木を用いたウッドハウジングを採用することにより、今までのヘッドホンにはない、クリアで豊かな音質を再生する。


【スペック】
  • 形式:ダイナミック型
  • 再生周波数s帯域:8Hz~25,000Hz
  • コード:0.8mOFC、φ3.5mm24金メッキステレオミニプラグ付
  • 質量:7.5g

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]