ヘッドホンの振動板に木を使う!? ヘッドホンの常識を覆す工法にチャレンジし、従来のヘッドホンでは得られなかった音の響き、広がり、原音の再現を可能にした前代未聞のウッドドームユニット。いかにして商品化に結びついたのか、日本ビクターの設計陣と商品企画の方たちに話を伺った。
澤田 木を使ったヘッドホンをできないだろうか? デジタルプレーヤーが一般化していくなかで、そんな思いをふくらましていました。付属のヘッドホンでは飽きたらず、密閉型のインナーイヤーヘッドホンに買い換える、音にこだわりをもつ人が増えている。そういう人に、ビクターとして、理想的なインナーイヤーヘッドホンを提供できないかだろうか、と。
ビクターの音質とは原音を追求することです。デジタルプレーヤーに高音質を求めるお客様へのひとつの答えとして、わが社が長年つちかってきた、木の振動板を使ったヘッドホンを製作できないかという相談を技術に投げかけたんです。本当に、そんなヘッドホンが実現できるかどうかわからなかったんですが……。
伊藤 澤田からの提案は渡りに船の話でした。私たち技術チームは、偶然に木の振動板を使ったヘッドホンの研究をスタートしていたところだったんです。
ビクターの研究所では、20~30年前から、振動板として木を使う研究はスタートしていました。最初に完成したのはウッドコーンスピーカーですが、ウッドコーンなら、音として“もの”になることがわかった。
だったら、ヘッドホンにもいかせるのではないかという発想があったんですね。ものを作る側からしても、木のよさはわかっていたので、商品として開発したい思いがありました。
世界初ウッドドーム振動板を採用したインナーイヤーヘッドホン。優れた音響特性を持つ木材を、薄膜加工と成型加工という2つの独自技術によりヘッドホンへと仕上げた。注目の木材には伝搬速度と内部損失に優れたカバ材を使用。ヘッドホンの筐体にも木を用いたウッドハウジングを採用することにより、今までのヘッドホンにはない、クリアで豊かな音質を再生する。
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