UPDATE マサチューセッツ州ケンブリッジ発--米連邦通信委員会(FCC)のKevin Martin委員長は米国時間2月25日、PtoPファイル共有トラフィックを遅延させる行為はユーザーの利益にかなうとするComcastの主張を槍玉に挙げた。どうやら委員長は、Comcastの批判者らに同情的なようだ。
Martin氏(共和党)は当地で開催の公聴会での質問を通じて、自身の2つの信念を前面に押し出したように見えた。その信念とは、1つは、Comcastのようなインターネットサービスプロバイダー(ISP)は、ネットワークトラフィックの操作について可能な限り明確にすべきというもので、もう1つは、消費者は実質的に価格に見合ったサービスを受ける自由が与えられるべきというものだ。
FCCは、Comcastが実施しているBitTorrentプロトコルクライアントへのアップロードを制限する行為に対する調査の一環として、ハーバード大学ロースクールで公聴会を開催した。FCCは、ISPによる「合理的な」ネットワーク管理の定義付けや制限のために新たな規則が必要か否かについてより広い視点から検討している。この議論は、長年続くネットの中立性に関する規制をめぐる議論の延長だ。仮にこの規制が施行されれば、ネットワーク事業者はトラフィックに優先順位を付けることが禁止される。
議会でもネットの中立性に関する規制について引き続き議論されている。25日の公聴会の会場近くの選挙区から選出されたEd Markey下院議員(民主党、マサチューセッツ州選出)は、ISPが自社ネットワーク上のコンテンツに対し「不合理な差別」を行うことを、完全に禁止はしないものの、思いとどまらせる、あるいは阻止することを目的とした新法案を提出した。
Martin氏は最初に、ビデオ共有サイトVuzeの最高経営責任者(CEO)であるGilles BianRosa氏に質問を行った。これらの質問が、Vuzeは合法的なコンテンツを配信しており、また帯域幅も独占していない事実を明確にする目的で行われたことは明らかだった。
その後、Martin氏は、パネリストとして参加した学者、公益団体関係者、ComcastおよびVerizonの幹部らの意見を聞いた上で、消費者は現在利用中のインターネットサービスの品質や将来実施される可能性のある制限について十分な情報を得ているか否かを判断するためのいくつかの質問を行った(ちなみに、パネリストの中にネットワーク管理の経験者はいなかった。ただ、午後の2組目のパネリストはネットワーク管理の専門家で構成されていた)。
その後Martin氏は、ComcastのエグゼクティブバイスプレジデントであるDavid Cohen氏に対し、Comcastの顧客は同社から課された制約の範囲内で活動しているにも関わらず、なぜComcastはPtoPファイル共有トラフィックをブロックする必要があると考えているのか尋ねた。
「これは、あなた方の主張と矛盾しているのではないか」(Martin氏)
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