UPDATE BitTorrentをはじめとする大容量ファイルの配布を手がける企業は米国時間2月14日、ComcastがPtoP接続を制限するのは、ケーブルテレビと競合する動画サービスに対して打撃を与えるためのあからさまな試みだとして、同社を厳しく非難した。
BitTorrentで最高技術責任者(CTO)を務めるEric Klinker氏は同日、記者団に対しComcastによる制限は「BitTorrentだけにとどまらず、当社の技術を使用する多くの企業に影響を及ぼすものだ」と述べた。Klinker氏のコメントは、Comcastが自社の行為の正当性を主張する分厚い報告書を米連邦通信委員会(FCC)に提出した翌日に出された。
BitTorrentプロトコルは、長い間違法ダウンロード目的で使用されてきたが、同プロトコルの商用化を目指し設立された同社は、帯域幅コストを削減するために同プロトコルを使用して動画を配信するエンターテインメント業界の多くの企業と提携関係を結んできた。同社の提携企業には、Warner Bros.、Viacom、PBS、Paramount Picturesなどがある。
つまり、Comcastは、法的に何ら問題のないテレビの視聴を、それがインターネットを媒体としているという理由だけで妨害していることになり、同社の行為は競争阻害行為にあたる疑いがある。オンラインでのテレビの視聴が増えるに従い、Comcastは、ケーブルテレビ上のコンテンツを管理するという羨ましいほどの利益をもたらす地位を失い、数多くある利益率の低い商用ブロードバンドプロバイダーの1つになる、との意見もある。
FCCに審理を開始させるうえで一端を担ったVuzeの相談役であるJay Monahan氏は、「Comcastが参入してくれば、さらに厄介なことになる」と述べる。「Comcastは高画質の動画コンテンツを配信するすべての企業にとり競争相手となる」(Monahan氏)
Vuzeでは、BitTorrentプロトコルと「Azureus」と呼ばれるクライアントを使用してShowtime、A&E、BBCといった提携企業の動画を配信している。(BitTorrentは違法なコンテンツを配布するだけではないという点において譲歩し、Comcastは今週FCCに送った書簡の中で「著作権」または「著作権侵害」という言葉を使用していない)。
Comcastにすれば、最も帯域幅を占領するユーザーに対して正当な制限を設けているだけとなる。その結果、BitTorrentの限りない欲求によってすべてのユーザーの接続が妨げられる事態を回避できるためだ。同社では、PtoPアプリケーションは最大で80%のネットワーク容量を占有することがあり、それ制限することはネットワークを管理する手法として妥当なものであるとしている。
Comcastは、自社の行為がBitTorrentを狙ったものであることを認めているが、それがBitTorrentのストリームコンテンツが原因であるという見方については否定している。Comcast広報担当の Sena Fitzmaurice氏は、「エリア内でのアップロードトラフィックの容量が唯一最大の理由だ」と語った。さらに、「当社はトラフィックの中身については把握していない。アップロードの容量がエリア内の他のユーザーの利用に支障をきたし始める水準に達したら、アップロードを管理しなくてはならない」と同氏は述べている(Comcastは、BitTorrentのダウンロードを管理、つまり、制限をしているとは言っていない)
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