ドワンゴ2日連続ストップ高、株価反転急騰の背景

 携帯コンテンツ配信大手のドワンゴの株価が、先週の2月13日につけた安値16万8000円を底に、翌日から2日連続のストップ高となる急反発をみせた。同社の株価は、2007年10月から12月半ばまで急騰し、その後一転して反動の急落トレンドを強いられたが、今後の大幅な値戻しに市場関係者の期待感が高まっている。株価反転上昇期待の背景を探った。

「ニコ動」のモバイル版、プレミア会員も順調な増加

 ドワンゴは、2月7日、2008年9月期の第1四半期(2007年10〜12月)の連結決算を発表した。売上高59億8100万円(前年同期比3.6%増)、営業損益1億6300万円の赤字(前年同期は5700万円の黒字)、経常損益は1億5900万円の赤字(同2900万円の黒字)、最終損益は2億4500万円の赤字(同1億5200万円の赤字)の赤字決算となった。さらに、2008年3月中間期の連結経常損益でも4億円の赤字を予想している。

 ただし、通期の2008年9月期では、4億円の黒字(前期比25.8%増)と黒字転換を見込んでいる。同社では、もともと上期を“投資期間”と位置づけており、第1四半期はほぼ計画に沿った決算となった。

 売上高ベースで会社側は、当初モバイルコンテンツ事業を控えめに見ていたが、2007年9月期の第3四半期(2007年3〜6月)の36億5800万円をボトムに同第4半期(同7〜9期)38億9700万円、2008年9月の第1四半期(同10~12月)40億4300万円と順調な拡大を継続していることに注目したい。

 主力のモバイル事業、ゲーム関連事業については微増予想ながら、子会社のニワンゴが手掛ける動画サイト「ニコニコ動画」が大幅な伸びを見せる見通しとなっている。ニコニコ動画の会員数はパソコン版が1月に500万人、モバイル版が2月に100万人を突破するなど好調な推移をみせている。また、収益面で大きな支えとなっているプレミアム会員数も2007年6月末の3万人、同9月末の9万人、同12月末16.5万人、2008年1月21日発表分で約17万人と順調な増加をみせている。今後は有料会員数の増加が期待できるうえに、広告料収入の拡大も見込める。

 2008年9月期の業績見通しについては、ニコニコ動画のシステム開発費などの費用負担を会社側はかなり高めに見積もっていることから、会社計画ほどシステム開発のコストが発生しない可能性も高いため、利益が会社側予想を上回ることも十分ありそうだ。

 同社の株価は2007年9月下旬の10万円水準から急騰をみせ、同12月7日には49万5000円とわずか2カ月余りの短期間に約5倍の上昇をみせた。これは、画面上にリアルタイムでコメントを書き込める動画サイトの成長性に対する評価が急速に高まったためだ。しかし、その後総務省が、携帯電話・PHS事業者4社と社団法人電気通信事業者協会に対して、青少年に対する有害サイトアクセス制限サービスの導入促進を図るための要請を行ったことなどから、未成年が携帯電話を通じて有害サイトなどを閲覧できないようにするファイルモニタリングサービスの導入加速が、同社の成長にとって逆風になるのではとの警戒感が強まった。

 短期間に株価が急騰していたことに対する反動もあり、株価は一気に反落トレンドに転じて利益確定売りが続き、2月13日には16万8000円まで売り込まれていた。ところが、先週末の2日間で出来高を伴って連続ストップ高をみせた。2日連続の急騰の後だけに、目先的には波乱相場が予想されるものの、“いったん上昇しはじめると加速がつく”同社株の特性を考慮すると、今後意外高に発展する期待が高まっている。

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