カリフォルニア州メンロパーク発--Sun Microsystems製のちょっと変わった新しいスーパーコンピュータが来週、数カ月遅れで正式にそのベールを脱ぐ。
テキサス大学のテキサス先端計算センター(TACC)は米国時間2月22日にSunが製造した「Constellation System」の竣工式を執り行うと、Sunのシステム担当エグゼクティブバイスプレジデントであるJohn Fowler氏は述べた。Fowler氏は13日、当地で開催されたSunの世界的なメディア関連のサミットで講演していた(厳密にはコンピュータは2月に入ってすでに運用を開始しているが、竣工式はいわば正式なお披露目である)。SunはTACCに続いてさらに多くの顧客にConstellationを販売していきたい意向だ。
Constellationの要となっているのは、サーバ、メモリ、データストレージのトラフィックを制御するスイッチと呼ばれるハードウェアである。この「Magnum」(開発コード名)スイッチは通常より多い3456基のポートを装備しており、これによってConstellationのような強力なコンピュータの内部にあるデータ経路が渋滞しないようにする。
「われわれは同数のノード数を備えた現行の最強システムに比べて3倍の性能向上を見込んでいる」とシステムグループ担当チーフアーキテクト兼シニアバイスプレジデントのAndy Bechtolsheim氏は6月にConstellationのコンセプトについて語っていた。「当社は過去数年間、スーパーコンピュータ市場で存在感が薄かった」(Bechtolsheim氏)
SunではTACCのシステムを10月に立ち上げる予定だったが、さまざまな技術的問題にぶつかった。まず、AMDがコンピュータに搭載予定の「Barcelona」プロセッサの遅れを出したこと。「当社はAMDから特別生産ロットを受領して契約の履行にこぎつけた」とFowler氏は述べる。Sunは後日、同チップが出荷されたら、より標準的なBarcelona搭載サーバをリリースする予定だ。
しかし、Constellationの目玉はAMDのチップだけではないとFowler氏は述べる。ConstellationではSunが発明した新しいタイプのケーブルも使用されている。このケーブルには1本あたり3カ所の接続部分がある。こうしたケーブルを製造し、TACCセンターの内部をあちこち引き回してコンピュータ同士を接続する作業は、実際にやってみると予想以上に大変だったとFowler氏は述懐する。
Magnumスイッチにも技術的な問題が持ち上がった(Sunの抱えている技術的な問題はあくまで自社製コンピュータに関するものだが、Fowler氏によるとサードパーティーのサプライヤー各社は納入の遅れに対して金銭的な補償をSunに提供することになる。これはこの種類の契約では通常の措置なのだという)。
TACCシステムのピーク性能は約500テラフロップ(1秒間に500兆回の演算能力)になる予定であり、その能力はさらに向上させることが可能だ。このシステムはサーバを搭載した82台のSun製ブレードラックで構成され、2ペタバイトのストレージ容量を持つとFowler氏は説明する。システム全体は中程度の会議室に収まるくらいの大きさだが、米国国立科学財団(NSF)が現在所有しているすべてのスーパーコンピュータよりも高い処理能力を持つ。
Sunによると、このアーキテクチャによって同社は世界のスーパーコンピュータのランキングでIBMに挑戦することも可能になるという。IBMは過去数年間、一連の「Blue Gene」システムによってスーパーコンピュータのランキングを支配している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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