シャープもまた今は様子を見ていると、同社関係者は語る。
一体なぜ待つ必要があるのか。それは、現時点でのOLEDテレビの価格が非常に高いからだ。例えばソニー製OLEDテレビは2500ドルもする。またサイズについても、現在売れている40型以上のテレビに比べるとはるかに小さい。ソニー製テレビはわずか11インチだ。また各メーカーは既存技術を基礎とするテレビについても、製造コストを抑え、価格を下げる方法を模索し続けている。
「われわれは、市場の0.001%強のためにテレビを作りたいと考えている」(Lee氏)
また、OLEDの製造も依然として困難であり、科学というより芸術の域だ。ソニーの幹部らも、同社初のOLEDテレビのサイズが非常に小さいのは、大画面のOLEDテレビを作るのが困難だからだと認めている(現在、OLEDは主に携帯電話の画面に利用されている)。
大型画面での課題は歩留まりの改善だ。複雑な問題がたくさんあり、課題はLCDよりも多い」とソニーの代表執行役副社長コンスーマープロダクツグループ担当である井原勝美氏は述べた。「歩留まりが低くなる傾向にあり、これが最大の課題だ」(井原氏)
また基礎技術についてもある程度の研究が必要だ、と坂本氏は指摘する。OLEDの画面は、プラズマやLCDと違い、水分が浸透してしまうため、損傷の原因になりうる。
坂本氏は、「今のところ、OLEDパネルの上層部を製造する機器メーカーも存在しない」としながらも、「しかし、私は非常に前向きに考えている。(OLEDは)プラズマやLCDの後を次ぐ大変有望なディスプレイだ。しかし、時間を要する」と語った。
また、耐久性も問題だ。OLEDテレビの正確な寿命は誰にも分からない。しかし、ソニーは多くの問題を克服した、と井原氏は語る。同氏によると、仮にテレビの1日の視聴時間が8時間とすると、ソニー製OLEDテレビの寿命は10年間だという。
それでもOLEDテレビが有望であることに変わりはない。
「OLEDは、価格競争力でLCDと同等か、それを上回る可能性がある」と江幡氏は語る。「また、(LCDに比べて)画質は高く、消費電力ははるかに少ない。OLEDの将来性を否定する人は少ない」(江幡氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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