ちょうど今から約1年前。キューエンタテインメント 代表取締役CEO 内海州人氏と、同社CCOの水口哲也氏にインタビューをおこなった。
当時はWiiやPLAYSTATION3(PS3)といった最新鋭のプラットホームが出そろう前。今後はそれら最新鋭マシンがどのように展開をしていくと見るか? といった疑問をぶつけたインタビューだった。
そこで内海氏は、
「良く自分たちのことを"デジタルバックパッカー"なんていっているんですが、興味のある所へ行ってみて、そこでおもしろいと思ったら数日滞在して観察して、でもつまらなかったら帰る。とにかく、自分たちが「おもしろそうだな」と思った所には足を運んでみるんですね」
と語った。
コンシューマの舞台で斬新なタイトルを打ち出すのはもちろん、オンラインゲームの運営やケータイコンテンツの拡充も怠らないキューエンタテインメント。現在は、水口氏がプロデュースする「元気ロケッツ」が大きく翼を広げ、また違うステージへ羽ばたきつつある。
デジタルバックパッカーが見る現在のゲームの世界、エンターテインメントの世界は、どのように映っているのだろうか。
キューエンタテインメント 代表取締役 CEO 内海州人氏に聞いた。
多くのプラットホームが乱立する今は、僕はビッグバンだと思っています。
ただ、そのビッグバンのなかでも共通している所がありますよね。例えばネットワークへの対応であったり、――Wiiはちょっと違いますが――ハイデフへの対応であったり。そして、それらが組み合わさるハイブリッド化が進んでいる状況だと思います。
ニンテンドーDSやPSPによって、今までは据え置き型のゲーム機で座って遊んでいたゲームが、据え置き型と同等、もしくはそれ以上のクオリティで、いろいろな所やシチュエーションで遊べるようになった。しかもそれが、これまでゲームを遊ばなかった人たちまで及んでるということも、これまでに無い新しい組み合わせ(ハイブリッド)と言えるかもしれません。
例えば、僕にとってMMORPGというのは、いまだにゲームかどうかという点は微妙だと思うのです。では、コミュニティと言うのかというと、それもまた微妙です。
やはりゲームプレイとコミュニティが同時に進行するハイブリッドだと、個人的にはとらえています。
要するに、ゲームプレイというよりも、人とつながって「何か」することで喜びを感じることそのものが大切で、その喜びを感じるための「何か」がゲームだったのではないかと。
弊社の「ルミネスモバイル」「ルミネスライブ!」等では、いろいろな音楽をダウンロード配信していますが、季節にあった音楽の配信もおこなっています。そういう、その時々の気分を盛り上げるアイテムを配信するというのは、もしかすると今までのゲーム的じゃない部分なのかもしれません。
要するに、ユーザーに対してゲームプレイそのものはもちろん重要なのですが、ゲームをプレイする人たちが増えたことによって、購入とプレイするモチベーションというのが、少しずつ多様化してきていると思っています。
その多様化の部分の組み合わせを「ハイブリッド」というと一言で言えてごまかせて良いのかな(笑)、と思って、ハイブリッドと呼んでいる訳です。
弊社は本当に小さい、開発会社兼一部パブリッシャーです。ですが、割といろいろな事をやっている会社だと思っています。なおかつ、日本だけというよりもグローバルな展開をかなりおこなっています。
ですから、弊社の規模ではXbox LIVE アーケードの売り上げというのも実は大きかったりします。特に海外は重要な市場で、来年の頭までは「ルミネスライブ!」や「エブリ エクステンド エクストラ エクストリーム」「Rez HD」といったタイトルをすべてXbox LIVE アーケードでリリースをするといった展開をおこないます。
さらにこの後に続く展開があるのがマイクロソフトさんのプラットホームの面白い所で、PCへの展開も可能性があるんですね。日本ではあまり認知されていませんが、欧米ではカジュアルゲームというエリアがあるのですが、そちらにも力を入れていこうと思っています。
このようにXboxというプラットホームは、欧米でのPCとの親和性を考えると、重要にならざるを得ないプラットホームだと感じています。
一方のPS3ですが、PCでサービスを提供しています「エンジェル ラブ オンライン」を、基本プレイ無料というPCと同じビジネスモデルで展開する予定です。この前の東京ゲームショウ2007で発表しましたが、割と多くの方に驚いていただけました。
ハードディスクがすべての製品ラインナップについていて、インターネットとつながり特別なことをしなくてもユーザーへサービスが提供できるというのは、次世代機と呼ばれたハードのなかでもPS3だけなんですね。グラフィックエンジンやCPUばかりが注目されますが、こちらの方も割と重要なファクターだと我々は考えています。
あと、任天堂さんのプラットホームについては、少し対応が遅れています。非常に興味は持っているのですが、「これ」と言うのをまだ発表できるエリアに達していないのです。
ただ、任天堂さんをすごいと思うのは、コンセプトを貫くための施策とひたむきな態度。そして、それにともなう多くの開発会社やクリエイターの取り込みという活動は、本当に素晴らしいと思います。
いろいろなビジョンがあっても、結局は面白いか面白くないかという本質的な部分で見極めていらっしゃる所もさすがだと思いますね。
そういう意味で、もちろん注目はしていますし、今後は何かしら仕掛けていくつもりです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス