グーグルの利益を世界に投資、企業市民活動の担い手にきくCSRの現在 - (page 3)

文:Elinor Mills 翻訳校正:吉井美有2007年12月12日 08時00分

―Google.orgの一部でなくとも構いませんが、あなたが個人的に取り組んでいる運動には他に何がありますか。

 妻とわたしは、30年ほど前にSeva Foundationを始めました。Sevaは今では15か国で活動しており、全盲を治す活動をしています。インドとバングラデシュ、ネパールで200万人以上の視覚を取り戻す活動をしています。

 わたしは、早期警戒に非常に興味を持っており、蔓延する前の段階で感染症を発見するシステムを見つけたいと思っています。39の人獣共通感染症、つまり種をこえて感染する動物の感染症について考えています。こうした例としては鳥インフルエンザ、西ナイルウイルス、SARS、エボラ出血熱、ラッサ熱、マールブルグ出血熱、そしてAIDSが挙げられます。

 われわれは、動物から人への病気の伝播という新しい世界に入ろうとしています。わたし個人が特に熱中しているのは、これに対してわれわれが何をできるかということです。

―フィランソロピー団体の運営について、あなたが始めた頃と比べると、現場で感じる最大の変化は何ですか。

 わたしは2つの株式会社で最高経営責任者(CEO)を務めた経験があります。(初期のオンラインコミュニティである)The Wellを立ち上げましたし、国連のために天然痘、ポリオ、津波のプログラムで働きました。私営の財団でも公営の財団でも働きました。これらすべてに文化の違いがあります。

 1960年代には、ビジネスは社会変革の敵であり、財団で働く人やNGO、501(c)3団体(米国の内国歳入法501(c)3に基づく公益非営利団体)に働いていた人は、企業を敵ととらえていました。

 しかし企業は変わりました。少し考えてみてください。(eBayの創業者)Pierre Omidyar氏は素晴らしい人物です。eBayを去ったJeff Skoll氏、Salesforce.comの創業者Marc Benioff氏、LarryとSergey、(Microsoftの創業者)Bill Gates氏などがいます。

 彼らは事業をうまく運営するすべを知っていて、企業の指揮から得た自分の財産の一部と技能を非営利団体の運営に生かし、団体の活動がより効率的、効果的なものになるようにしています。

 これが最大の変化であり、これによって大規模なキャンペーンを成功させる方法が浸透しました。ポリオのプログラムは、天然痘のプログラムよりもはるかに効率的でした。

 Carter Centerが運営している糸状虫病撲滅プログラムは非常によく運営されています。これらの事業はより大きな福祉、社会福祉、事前目的で行われているもので、ビジネスの良さとビジネスの最高の人材を活用しています。

―この傾向はテクノロジー産業に限ったものですか。

 (ベンチャーキャピタリストの)John Doerr氏の業績を、インフルエンザの蔓延防止や気候変動、教育の分野でなしとげたことを考えてください。CEOとなった人物が環境に優しい企業にしたいと言ったことを端緒にWal-Martが行ったことでもいいでしょう。産業界のリーダーシップから生まれた好影響は多々あります。

 わたしは「監督責任」という言葉が嫌いですが、現在の産業界には、これまでの人生でわたしが見てきたよりも大きな道徳的な監督責任があるように思います。これは非常に重要であり、歓迎するべきことです。

 Levi Straussのように進歩的で社会に関心を持つ組織や企業は常にありました。Hewlett-Packardの「HP Way」は、本当にそこで働く人とその周りのコミュニティのことを考えていました。わたしは、今ではこれがより広がっているように感じています。データはありませんが、それがわたしの感覚です。

―これが起こっているのは、何らかの転換点に達したからだと思いますか。状況はひどい。特に環境については、何もしないことはいまや犯罪だというように。

 そう思います。ドイツ第三帝国時代の偉大な詩人Bertolt Brecht氏は、かつて「語られていない現在の罪のために、木々の美しさを語ることが罪となる時代とはどんな時代だろう」と言っています。

 彼はもちろんナチス体制のことを言っていました。・・・多くの人にとっては、気候変動はある意味で強制的で悪魔的なものです。これを招いたのはもちろんわれわれ自身です。他の人を責めることはできません。これは、わたしが話す人々やわたしが知る善良な人々への、行動への大きな呼びかけだとわたしは考えています。

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