グーグルの利益を世界に投資、企業市民活動の担い手にきくCSRの現在 - (page 2)

文:Elinor Mills 翻訳校正:吉井美有2007年12月12日 08時00分

―Googleはなぜそんなにエネルギー事業に真剣に取り組んでいるのですか。エネルギー事業に参入しているのですか。

 われわれはエネルギー事業に参入しています。なぜGoogleが真剣に取り組むかですか?取り組む人もいれば、取り組まない人もいるものです。われわれには、クリーンエネルギーを購入したいというニーズがあります。急成長企業として考えてみたときに、もし解決策の一部とならなければ、われわれ自身が問題の一部になるだろうと気づきました。そして、それは(共同創業者の)Larry(Page氏)やSergey(Brin氏)、そしてわたし、あるいはわれわれの誰にとっても受け入れられないことでした。われわれは問題の一部にはなりたくないのです。

 われわれは、再生可能エネルギーの分野に取り組んでいる新興企業に投資することで、先日行った発表を裏書きする準備があります。今猛烈な勢いで、見つけられる最高のエンジニアの採用を進めていますし、エンジニアだけでなく、科学者、化学者、物理学者、材料科学研究者なども雇っています。真剣かどうかは、われわれの行動を見てもらえばわかるでしょう。

―資源、時間、人事面ではどの程度関わるのですか。

 大きく関わります。その関与には2つの方向性があります。Google.orgは積極的に投資をしていきます。・・・既に多くのベンチャーキャピタル企業と接触があり、パートナーとなれるかどうか打診を受けています。

 また、今回の発表の時点で新設された研究開発部門に、Googleを通して人を雇い入れています。これらは大きな資源ですが、これは始まりに過ぎません。(再生可能エネルギーへの取り組みを行うという)プレスリリースでは資本にして何億ドルになると発言しています。

―この取り組みは今後どのようになっていくのでしょうか。これはいくつかの投資案件で終わるものではないようです。これは非常に大きく、長期的なものになっていくのですか。

 それは、何が起こるかによります。わたしは、RFP(プラグインハイブリッド車についての提案依頼)に対し、予想を7倍も上回る反応があったことに驚いています。これによって、投資のチャンスが大きく広がります。何が出てくるかがわからないと、その質問に答えるのは難しいですね。しかし、われわれは非常に真剣です。

―では、これはGoogle.orgの人の健康を改善し、貧困をなくすというミッションのどの部分に具体的に当てはまるのでしょうか。

 われわれには3つの活動領域があります。グローバルな健康問題、貧困の緩和、そして気候変動の緩和あるいは抑制という3つを発表しました。2008年1月にさらに3つの取り組みを発表する予定です。していることはこれだけではないのですが、これらはわれわれにとっても他のすべての人にとっても非常に大事なことです。

―ではわれわれが直面している問題の中で最大なのは気候変動だということでしょうか。今後はどうなるのでしょう。

 これが最大の問題であり、その理由は次のようなものです。バングラデシュのマイクロクレジット(小規模の資金を貸し出し、自立を支援する非営利活動を指す)は500万人に融資しており、その多くが女性です。これは支援を受けた人びとの生活を変えました。

 もし、現在予想されている勢いで地球温暖化が進み、今予想されている海面上昇が起これば、これらはすべて洗い流されてしまいます。これは文字通りの意味です。

 現在の予測では、気温は摂氏で2度から4度上昇します。4度から6度上昇するという予想もあります。現在のIPCC(国連の気候変動に関する政府間パネル)は、1メートルから3メートルの海面上昇が起きると述べています。

 海面が1ミリ上昇すると、1.5メートルの海岸線が失われます。さらに1メートル海面が上昇すると、海岸線が1マイル小さくなります。

 これは、バングラデシュでは3000万から1億の人が気候変動による難民になることを意味しています。もしこの数字が正しければ、南フロリダ、マンハッタン南端部、そしてサンフランシスコのベイエリアの大部分はこの気候変動の影響を受けます。

 気候変動は、疾病の拡散にも大きな影響があります。蚊は温暖な地域では毎年通常3カ月でいなくなりますが、気温が上昇すると、季節に関係なく蚊がいるようになります。

 これまでの蚊との戦いでは、人間に分があります。蚊は毎年死ぬからです。蚊は毎年ゼロから始めなければなりません。しかし、そうではなくなります。蚊は一年を通じて増え続けることになります。

 英国がアフリカに建設したすべての都市は、6000フィート以上の高地にあります。これは、6000フィート以上の高地では寒すぎて蚊が生きられないからです。

 マラリアはこの高度、季節、緯度を超えて伝染するようになります。今でも150万人の子どもが毎年マラリアで死んでいます。これを防ぐ最もよい方法は気候変動を防止することです。気候変動との戦いに負けることは、マラリアの蔓延防止からみると最悪のことです。

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