MS、「Windows Vista SP1」で「機能制限モード」を廃止の方針へ

文:Ina Fried(CNET News.com) 翻訳校正:吉武稔夫、小林理子2007年12月04日 21時14分

 Microsoftは米国時間11月3日、「Windows Vista」の海賊版の割合が「Windows XP」に比べて半分にとどまっていると発表した。

 皮肉屋の私としては「違法コピー業者でさえ2対1の割合でVistaよりもXPを支持している」とまとめたいところだが、それでは不公平というものだろう。実際、海賊版の割合が低いのは、VistaはXPよりも違法コピーを作るのが難しいという事実によるところが大きい。

 MicrosoftのバイスプレジデントMike Sievert氏は3日の取材に応えて、「海賊版の割合が低いのは、コピーを作るのが困難だからだ」と述べている。

 これにはさまざまな理由がある。たとえば、マシンの台数に制限なくライセンス認証が可能な、企業向けのボリュームライセンスキーを廃止したこともその1つだ。もう1つには、正しくライセンス認証できなかったVistaマシンはすぐ「機能制限モード」に移行してしまい、基本的に使用不可能になってしまうことが挙げられる。

 Microsoftにとって、得るところは大きかった。同社は2007年7−9月期の決算を発表する電話会見で、「Windows」の売り上げが25%増加したうち、5ポイントは海賊版の減少に起因するものだと述べている。

 ところが興味深いことに、MicrosoftはVistaの海賊版利用者に対する処置を少々緩める姿勢を見せている。「Windows Vista Service Pack 1(SP1)」では機能制限モードが廃止され、非正規品であることが判明したシステムには目立つ注意書きが表示されるようになる。

 SP1を組み込んだ非正規品を起動すると、システムのライセンス認証が正しく行われなかったという警告が表示される。ユーザーには「今すぐ認証を行う」「後で認証を行う」という2つのオプションが示されるのだが、後者のオプションはやや遅れて表示される。さらにデスクトップ画面の背景が白に変わり、マシンのシステムが非正規品であることを告げる目立つ注意書きが画面右下に表示されることになる。

 それでも、この重大な変更によって、Vistaの非正規品使用者やライセンス認証をしていない利用者も、システムを使用することができるようになったわけだ。Sievert氏によると、この変更は、違法コピー行為を抑制すると同時に、Vistaの違法コピーを知らずに手に入れてしまった顧客への影響を最小限に抑えるためのものだという。

 「こんな目にあいたいと思う人はいないだろう。と同時に、より公正なやり方だと広く認めてもらえるものと思う」と、Sievert氏は語る。

 しかし、この措置によって海賊版の割合がふたたび高まることはないのだろうか?Vistaをただで使えるのなら、見苦しい大きな表示くらい我慢するという人はいると私には思えるのだが。現在のVistaでは、我慢しようにも選択肢自体がない。

 また、SP1では、違法コピー作成者がMicrosoftのセキュリティをくぐり抜けるのに利用していた、2つの大きな抜け穴が修正された。1つは、大手コンピュータメーカーがVistaマシンを出荷前にライセンス認証するのに使用するプロセスを模倣するもので、もう1つは、マシンのライセンス認証猶予期間を延長するものだ。中には、猶予期間を何十年も延長したケースもある。Microsoftがライセンス認証手続きに存在する欠陥を修正するのはこれが初めてというわけではない。同社は2006年12月、Vistaのリリース候補版と正式版のファイルを組み合わせることで認証を回避しようとする「フランケンビルド」と呼ばれる手法が使用できなくなるよう、Vistaに変更を加えている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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