米連邦通信委員会(FCC)によって近く実施される700MHz無線周波数帯の競売入札に向けて、Googleが着々と資金の準備を進めている。さらに、Wall Street Journal(WSJ)が米国時間11月16日に報じた記事によれば、Googleは本社のあるカリフォルニア州マウンテンビューに小規模な高速無線ネットワークをすでに敷設し、同周波数帯域でできることを探ろうとしているという。
WSJは関係筋の話として、Googleは2008年初めに予定されている競売に入札する計画だと伝えている。Googleはすでに、同社敷地内の小規模な無線ネットワーク上で、技術試験を行う許可を得ているという。WSJの報道によるとGoogleは、最近になって発表された同社の新しいソフトウェア「Android」を使う携帯電話機を試験している模様だ。
Googleが同周波数帯の入札準備を進めている、というWSJの情報は驚くにはあたらない。Googleの最高経営責任者(CEO)Eric Schmidt氏は以前、来るべき競売に入札する意向だと話していた。
Googleおよび同周波数帯の競売についてこれだけ騒がれながら、ふたを開けてみて同社が入札していなかったら、奇妙な感じさえするだろう。Googleは積極的にロビー活動を行って、オープンアクセスのルールを競売の一部に組み込むようFCCに働きかけた。これはライセンスを取得した企業に、ネットワーク上であらゆるデバイスやソフトウェアを利用できるようにする義務を課すものだ。
では、Googleが実際にこの周波数帯の一部を獲得したら、どんなことが起こるのだろうか?これは皆が疑問に思っている点だ。可能性としては、GoogleがAT&TやVerizon Communicationsといった通信事業者に対抗して、独自に無線ネットワークを構築するということも考えられる。
しかし、ネットワークを構築して運営していくのは大変な仕事で、費用もかかる。私は、Googleに競売入札の可能性ありとの情報を初めて聞いたときから、消費者向け無線サービスを提供するために同周波数帯域を購入するのではないはずだ、と述べてきた。消費者向け無線サービスというのは、同社のビジネスモデルに合致しないのだ。
Googleは、アプリケーションを開発して配布している。そして、広告から収入を得ている。ところが、こうしたことはすべて、無線通信事業者になるような費用をかけずにできる。
つまり、Googleにとっては、巨額の資金を投じて無線サービスを構築し、運営できる他のサービスプロバイダに、周波数帯を貸すことに大きな意味があるのだ。この筋書きでいけばGoogleは、ネットワーク運営に必要なメンテナンス、管理、および顧客サービスの問題をいっさい切り離して、資産をコントロールし続けられる。
Googleが無線市場で現在の地位を築いてきたこれまでのやり方を考えてみると、今回のアプローチもよくわかる。Androidは、特定の携帯電話機メーカーが開発した特定機種向けに設計したプラットフォームではない。どこか1社のネットワークだけが独占的に提供するようにも設計されていない。Androidはオープンソフトウェアプラットフォームで、Googleとしては、携帯電話の多数の機種に搭載されて、いくつもの通信ネットワーク上で動作することを望んでいる。
AT&TやVerizon Wirelessのような位置にGoogleがくるという考えは、たしかにかなり魅力的だが、それはありそうにないと私は思う。もちろん、私が完全に間違っている可能性もある。だが、「Gphone」は電話ではないという私の見方は的中し、Gphoneはソフトウェアプラットフォームだった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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