岐路に立つ「ホワイトボックス」PCメーカー--ノートPC人気が落とす影

文:Erica Ogg(CNET News.com) 翻訳校正:向井朋子、福岡洋一2007年11月13日 16時15分

 消費者向けパソコンの世界の華やかなスターはAppleかもしれない。しかし今でも、とりたてて特徴のない「ホワイトボックス」PCを選ぶ消費者が、毎年何十万人もいる。

 Hewlett-Packard(HP)やDellは四半期ごとにブランドPCを大量に出荷しているし、Acerは2桁から3桁の伸び率を示している。そしてAppleは、依然としてハードウェアの分野で高い人気を誇っている。しかし、ホワイトボックスPCも姿を消したわけではない。

 一見したところ、ホワイトボックス市場はこの数年間、それほど劇的に変化してはいないように見える。市場調査会社のIDCによると、世界市場におけるホワイトボックスコンピュータ(有名ブランドではないパソコンや小規模なメーカーによるパソコン)のシェアは、2003年の44%に比べると下落しているが、2006年の時点でも37%だという。

 とはいえ、ノートPCの人気が高まっていることは、ホワイトボックス製造の将来にとって大きな問題をはらんでいる。「ホワイトブック」(ホワイトボックスのノート版)の市場シェアは、2003年でも8.5%にすぎなかったが、2006年には5.6%にまで縮小した。ところが、この同じ時期に、HP、Dell、Lenovo、Acerといった大手メーカーにとってノートPCはパソコンの主要形態となり、消費者向けPCの売り上げの3分の2を占めるようになっている。

 比較的規模の小さいPCメーカーは、大手メーカーほど容易にはノートPC市場に参入できない。ディスカウント価格で購入できる供給過剰のパーツは小規模メーカーにとって欠かせないものだが、特定のノートPCのモデルを対象としたパーツばかりが増える傾向にあるからだ。

 この現実は、ホワイトボックスのメーカーとして事業を続けていくのに、きわめて不都合な条件となる。ホワイトボックス市場にとって重要なのは、機会をうまく捉えるということだ。小規模なPCメーカーは、大手PCメーカーがパーツの注文時に犯した間違いを利用したり、新しいバージョンのリリースを控えていて、近いうちに古くなるパーツを買い集めたりして利益を上げている。

 「ホワイトボックスのベンダーの特徴は、機を見るに敏だということだ」と、Endpoint Technologies Associatesの創立者で社長を務めるRoger Kay氏は指摘している。「彼らは市場の状況に応じて市場モデルを変えている」

 ホワイトボックスメーカーのリストを見ると、見慣れた名前がほとんどなく、あまり知られていない企業ばかりがずらっと並んでいる。Systemax、ProStar Computer、MicroPro、CLT Computersといった企業は、カスタムPCを組み立てて、無名のブランドもしくはまったくのノーブランド製品として出荷している。こうした製品は通常、小売店を通さない直販形式で販売され、各種サービス、インストール済みのソフトウェアパッケージ、プリンター、ネットワークケーブル、保証などがバンドルされていることも多い。一般に、ホワイトボックスメーカーの顧客は、政府機関、教育機関、中小規模の企業、個人の消費者などだ。

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