岐路に立つ「ホワイトボックス」PCメーカー--ノートPC人気が落とす影 - (page 3)

文:Erica Ogg(CNET News.com) 翻訳校正:向井朋子、福岡洋一2007年11月13日 16時15分

 「ブランド名の認知度のおかげで、Dellのコンピュータが最も販売しやすい」とKlammer氏は言う。「Dellのコンピュータは他のものより優れているかって?そんなことはない。でも、有名ブランドだとよく売れる」

 ホワイトボックスのデスクトップPCメーカーに有利に働いている要素もある。世界のPC市場で進んでいる整理統合だ。この数年の間に、LenovoがIBMのノートPC事業を引き継ぎ、AcerがGatewayを買収したうえPackard Bellの買収も計画しており、DellがゲームPCメーカーのAlienwareを、HPがゲーム愛好者やPCマニアを対象にした高価なハイエンドPCの製造を手がけるVoodoo PCをそれぞれ買収している。

 大手PCメーカーの数が絞られてくると、Intel、Advanced Micro Devices(AMD)、Seagate Technology、Western Digitalといったコンポーネントメーカーとの交渉で、それだけ立場が強くなる。したがって、大手PCメーカーに対してある程度の交渉力を確保したいコンポーネントメーカー側では、「しっかりしたホワイトボックス市場を維持することが防御の一環となる」と、Kay氏は説明する。

 実際のところ、Dellは2002年にホワイトボックス市場への参入を試みたが、その後まもなくその計画を打ち切っている。ノーブランドの製品を低価格で小規模の再販業者に提供するという考え方は、ホワイトボックス市場が盛況だった頃のものだ。当時の考え方は、小規模のPCメーカーがDellに協力するという話に乗っても、彼らの利益を損なうことはないというものだった。同時にDellにとっては、PC市場におけるシェア拡大のための1つの手段でもあった。

 しかし、2年あまりが過ぎて、Dellはホワイトボックス計画の中止を発表した。同社の試みは、ホワイトボックス市場がどのように機能しているのかを垣間見せてくれたという点で有益だった、とKay氏は言う(つまり、常に流動的、ということだ)。要は小規模のPCメーカーが、パーツを購入する段階でどんな種類の製品を入手できるかということに尽きるため、数カ月の間は機能することが、その後の数カ月間には機能しないかもしれないのだ。

 ホワイトボックス市場全体は、HPやDellなどの大手を含む複数のPCベンダーが構成しているが、PC市場における経済性は特に大手企業にきわめて有利に働くことから、おそらくホワイトボックス市場はさらに下降し続けていくものと思われる。IntelやAMDから製品を注文する場合、大量に購入する企業ほど得られるディスカウントの割合は大きくなる。小規模のPCメーカーで同じような取引ができる見込みはない。

 「ホワイトボックスのメーカーは、きわめて敏捷でなければならない。彼らは事業を継続するために、日常的にビジネスモデルを変化させ続けている。それは苦しい戦いだ」と、Kay氏は語った。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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