岐路に立つ「ホワイトボックス」PCメーカー--ノートPC人気が落とす影 - (page 2)

文:Erica Ogg(CNET News.com) 翻訳校正:向井朋子、福岡洋一2007年11月13日 16時15分

 ホワイトボックスメーカーは、大手メーカーが何か間違いをしでかしたときに繁盛する。例えば、HPがハードディスクを注文しすぎたとしよう。HPが余分のハードディスクをディスカウント価格で小規模のPCメーカーに売ろうとしたときに、ホワイトボックスメーカーが先を争って購入し、これをデスクトップPCに組み込んで、あとは売れるのを待つ。ディスカウント価格で入手した有名ブランドのハードディスクを搭載したノーブランドPCを販売することで、収入を得るわけだ。

 デスクトップPCやサーバの場合、こうした手法は十分容易だ。しかし、ノートPCのフォームファクタとそれに合わせたコンポーネントは、多様なパーツをうまく組み合わせたいと考えているホワイトボックスメーカーに難問を突きつける。例えば、HPのノートPC「Pavilion」専用に作成されたマザーボードは、これまでのどんなノートPCにも搭載できないと、Kay氏は指摘する。

 「統合された設計が多く、非常に複雑なことから、ホワイトブックを作るメーカーがほとんどないのだ。(ホワイトボックスメーカーになるには)組み立てプロセスに相当の柔軟性が必要になる」とKay氏は言う。ノートPC用のパーツが特定のノートPCの限定されたスペースに収まるよう設計された特製品ということになると、ホワイトボックスメーカーのやり方はうまくいかない、と同氏は説明した。

 多様なパーツを組み合わせる製造モデルは、ホワイトボックスのデスクトップPCメーカー、およびコンポーネントやOSのメーカーには、非常に適している。

 少なくともMicrosoftの場合、同社のOSをライセンス提供する販路がそれだけ多様になり、利益を得ることができる。一例を挙げると、HPのコンピュータは世界のPC市場において20%弱の割合を占めており、HPはこのことによってMicrosoftとの交渉力を大いに得ている。Microsoftは再び優位に立つために、単独ではあまり影響力のない小規模なメーカーにOSをライセンス提供するという選択肢を確保しようとするかもしれない。

 そうした事情にもかかわらず、限られた地域で事業をしている小規模な業者は、やはり大手と張り合うことは不可能に近いと考えている。サンフランシスコでPC販売店Boxed CPUを10年あまり続けてきたRay Klammer氏は、PC市場とともに自分の事業が変化したと感じている。Klammer氏は当初、注文に応じてPCを組み立てていたが、事業を始めてわずか3年後の7年前、有名ブランドPCを購入して再販するやり方に切り替えた。

 「Dellよりも安い価格でコンピュータを販売することはできない。本当に特別なコンピュータを求める消費者は(ホワイトボックスPCを)注文するだろうが、出回っているパーツを使って安くコンピュータを組み立てることは誰にも不可能だ」と、Klammer氏は語った。

 Klammer氏によると、同氏がホワイトボックスPCの販売中止を決めた最大の要因は、DellのようなトップPCメーカーがMicrosoftから得ているWindowsのディスカウントだったという。GatewayやDellなど大企業の直販モデルの影響は大きく、Klammer氏は店舗を2年前に閉鎖し、事業をウェブに移すことを余儀なくされた。同氏は現在、単にDellのコンピュータを販売しているだけだ。

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