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コンテンツ産業はクリエイティブ産業へと進化すべき - (page 2)

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コンテンツ産業の現状を把握する機会として

 CoFestaは、2006年初めに経済産業省の「新経済成長戦略」の一環として二階俊博経済産業相(当時)が提唱した「国際コンテンツカーニバル」構想に端を発している。ばらばらで開催されていたコンテンツの見本市などをスケジュール的に集約することで、対外的なアピールを容易にし、コンテンツ立国としての立場を明確にするという発想は妥当なものとして考えられた。

 しかし、いざとなってみると、それぞれのイベントの規模はかなり大きく、連続して実施するには会場確保が困難であるなどの問題が明らかになってきた。加えて、産業固有の問題からあえて秋を選べないといった一部のコンテンツ業界の事情、あるいは業界を構成する企業らの足並みが必ずしも揃っていないがために産業見本市そのものの開催が困難といったものまでを考慮すると、同じコンテンツ産業といってもそう簡単に「一堂に会する」といった状態を形作ることは極めて困難であることが判明してきた。

 それでも可能な限り既存のイベントを集め一つの大きな傘の下に置き、これまで業界でのイベントを大々的に執り行っていなかった領域の人々を取り込み、人材育成やクロスリンクといったキーワードによる業界横断的な試みを複数配置することで、第1回目のCoFestaは開催にこぎつけた。黒子として走り回った団体や官庁の方々は、さぞや大変に違いない。

 とはいえ、先述のとおり、コンテンツ立国という壮大な目的の実現のためには、この一歩はきわめて小さいものでしかない。穿っていえば、イベント屋や広告代理店に、新たな収益機会を与えただけだったのかもしれない。しかし、私にとっては複数のイベントのシンポジウムやセミナー、パネルディスカッションに参加する過程で、改めて「コンテンツとは、コンテンツ産業とは何か」「そのとるべき方向性とはどのようなものか」を考えることができた。

 政府としても、理論的には「コンテンツという領域の産業化をさらに進め、日本という国の対外競争力を高めることで、より魅力のある国作りを実現していく」といった議論を進めてきたものの、それが具体的にどうしたら可能になるのかを把握することはあまりできていなかったのではないか。

 ゆえに、CoFestaのあるイベントで、「政府の会合に呼ばれていって喋っても、それに対して何のアクションも取られない。コンテンツ立国などといっても口だけ。本当に政府はやる気があるのか?」といった、批判的な発言が相次ぐ事態に陥ったのではないかと感じる。

 もちろん、政府内部の動向をみると、こうった批判のすべてが当てはまらないことは知っている。しかし、同時に、現実を知る者としては、政府の対応が世界のスピードにあっていないとか、競争力強化といっても民間の既存の活動支援に限定されるため、あまねく平等になどといった視点が外せず、優先順位付けがなされない傾向が強いと感じる。そのため、伸ばすべき産業や機能へ絞り込んだ支援や、既存の業界構造の変革促進が、スピーディーになされてきているとは言い難い。

 すなわち、これまでとは違った方向には簡単に舵をきれない、他分野との連携は簡単ではないといったCoFestaの抱える問題は、そのまま現在の日本のコンテンツに関した課題そのものになっているのだ。

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