ウイルス対策の専門企業Symantecは、以前Microsoftが「Vista」のセキュリティ情報の提供を拒んだために公に激しく対立したこともあったものの、同社とともにセキュリティ団体に加盟することとなった。
SymantecとMicrosoftは米国時間10月23日、RSA Conference Europe 2007において、両社は、IT関連の信頼性向上を目的とする非営利団体Software Assurance Forum for Excellence in Code(SafeCode)に加入する予定であると発表した。その他の参加企業には、EMC、SAP、Juniper Networksなどがある。
SymantecのEMEA地区担当ガバメントリレーションズマネージャーであるIlias Chantzos氏は、VistaのAPIに関する同社とMicrosoftの間の最近の論争についての質問に対するコメントとして、2社はSafeCodeにおいて顧客の利益を目的に協力していくと述べた。
Chantzos氏は、「Microsoftとの関係には複数の側面があるが、われわれはMicrosoftとの協力を切望している。それが結局のところ顧客の利益につながる。私は両社間の関係を競争的なものではなく、補完的なものであるとみている」と述べた。
SymantecやMcAfeeを含むセキュリティ企業らは2006年、MicrosoftがWindowsカーネル内部へのアクセスを不可能にしているとして不満を述べていた。セキュリティ企業らは、64ビット版Vistaを攻撃するハッカー対策として「PatchGuard」と呼ばれるカーネル保護技術をMicrosoftが開発したが、この技術が同企業らのセキュリティ製品をも遮断していると主張した。
結局Microsoftは、セキュリティ企業らに対し64ビットAPIへのアクセスを提供することに同意したが、実際にアクセスを提供したのは正式にそれを認めてから2カ月も経ってからであった。
Microsoftは長期にわたって、カーネルを完全に非公開にすることが、OSに最大限のセキュリティと安定性をもたらすと主張していたが、欧州や韓国当局から独占禁止に関する懸念が表明されたことに対応するため、譲歩することにした。
SafeCodeを率いるのは、サイバーセキュリティ専門家であるPaul Kurtz氏である。同氏は、Cyber Security Industry Allianceの設立者の1人であり、BushおよびClinton政権においてWhite House National Security CouncilとHomeland Security Councilのメンバーだった人物である。
Kurtz氏によると、同団体は、より安全で信頼性の高いハードウェア、ソフトウェア、サービスの開発と提供を目的とする、初のグローバルな業界主導の団体であるという。
Kurtz氏は、「最良の方法はどこにあるのだろうか? 誰もがそれを口にするが、どのようにして探せばよいのだろうか? SafeCodeは、そのような最良の方法を1箇所に集結させ、政府機関、一般消費者、企業が最大限に利用できるようにする」と述べた。
Kurtz氏は、SafeCodeは、同団体の活動を支援するための世界中の政府関係者や主要なインフラストラクチャ事業者による諮問グループを設立する予定であると付け加えた。
またKurtz氏は、同団体は、各加盟企業から徴収した5万ドルの会員費を資金とすると付け加えた。
「政府機関や業界が『支援してほしい』と要求できるような団体にしたいと思う」とKurtz氏は述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」