独占禁止関連の問題を避けるためにMicrosoftが64ビット版「Windows Vista」のセキュリティに変更を加える作業は、完了するまでに数年かかり、それまでの間は、互換性の問題が引き起こされるだろう、とGartnerが明らかにした。
GartnerのアナリストNeil MacDonald氏は米国時間10月18日、ホスト侵入防止システム(HIPS)などのセキュリティ技術を使用しているユーザーは、64ビット版Vistaの購入を当面見合わせるべきだとリサーチメモに記している。MacDonald氏はさらに、現在、多くの統合セキュリティ製品にはHIPSの機能が搭載されていることも指摘した。
MacDonald氏は、「これらの製品の多くが64ビット版Vistaでは完全な機能を提供できない点を認識してほしい。適切な代替製品がなく、互換性のない製品を使っている場合は、初期の64ビット版Vistaを使わないようにすることだ」と語っている。Vistaとの互換性が保証されているかどうかは、セキュリティベンダーに問い合わせる必要があるという。
欧州委員会に指摘された独占禁止問題に対応するため、Microsoftは先ごろ、サードパーティー製セキュリティソフトウェアが64ビット版Windows Vistaのカーネルにアクセスできるようになることを明らかにした。セキュリティベンダーからこの機能に対する要望が出ていたが、規制当局からの要請を受けてようやくMicrosoftはこれに応じる姿勢を見せてきた。
セキュリティ企業は現在、32ビット版Windowsのコア部分に自由にアクセスできる。しかし彼らは、64ビット版Vistaに搭載される、ハッカーの侵入を阻止することを意図した「PatchGuard」と呼ばれるカーネル保護機能が、セキュリティ製品もブロックしてしまうと訴えている。64ビット版Windowsは、いずれは32ビット版Windowsに取って代わる予定だという。
Microsoftは、セキュリティ製品のライバル各社がVistaのカーネルに一部アクセスできるようにすることを約束しているが、それを実現するプログラミングインターフェースはまだ開発されていない。
MicrosoftのSecurity Technology Unit担当バイスプレジデントBen Fathi氏は19日遅くに声明の中で、「業界内のパートナーの協力が必要になるが、ドキュメントとサポートのそろったカーネルインターフェースの第一弾は、Windows Vista Service Pack 1(SP1)のスケジュールに合わせて提供することを目標にしている、と述べた。
Gartnerの予想では、SP1のリリースは2008年初めになる見通しで、カーネル関連のプログラミングインターフェースはSP2以降もさらに追加される見込みだという。また、こうした変更はすべて、Vistaに悪影響をもたらす可能性があると、MacDonald氏は書いている。
同氏は、「カーネルに少しでも変更を加えると、それが『波及効果』となって多くのソフトウェアに影響を与え、Windows Vistaに対応するアプリケーションはすべてテストをやり直すことになるかもしれない」と書いている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
住環境に求められる「安心、安全、快適」
を可視化するための“ものさし”とは?
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス