デベロッパーズカンファレンスの「CESAデベロッパーズカンファレンス(CEDEC) 2007」最終日となった9月28日、東京大学で、「週刊ファミ通」などのゲーム雑誌を出版するエンターブレインの代表取締役社長、浜村弘一氏による基調講演が行われた。「未来に向けて広がるゲームビジネスの可能性」と題し、ゲーム先進国である日本の現状とそれに倣おうとする米国・欧州を中心とした世界のゲームビジネスを探る内容だ。
浜村氏はまず、各社が販売する次世代ゲーム機の販売数や購買層をデータで比較して、そこからユーザーに選択されるゲーム機にはどのような特徴が含まれるのかを読み解いた。なかでも販売台数の増加が著しく、一般社会にまでブームを巻き起こしたニンテンドーDSを初めに取り上げ、そのポイントを挙げた。
ニンテンドーDSはタッチパネルや音声認識というインターフェースを導入したことにより、操作がシンプルだ。そのためゲーム初心者でも楽しむことができ、新規ユーザーを多く獲得することができた。また操作そのものがゲームの楽しみとなったことで、「脳を鍛える大人のトレーニング」をはじめ、かつてはノンジャンルと呼ばれたカテゴリーが最大の売り上げ伸び率を見せる結果ともなった。
ただし新規ユーザーはゲームの世界に取り込まれたことにより、ゲームそのものに慣れはじめている。その結果としてニンテンドーDSのユーザーは、今後さらに高度なゲームソフトを求めていく傾向にあるだろうとした。
一方、これまでニンテンドーDSに比べ劣勢とされてきたPSP(プレイステーション・ポータブル)に、最近変化が起きつつあるという。同社の調査で、PSP購入者層でもっとも多いのが15歳〜19歳の世代という結果がでた。この世代はこれまで「ポケットモンスター」シリーズを楽しんできた人たちで、まだまだゲーム自体を楽しもうとする傾向にある。PSPのソフトは既存のゲームの要素を引き継いでいる部分が多くあり、彼らの受け皿となっていると、浜村氏は説いた。
浜村氏は続けて他のハードについても寸評を加えた。Wiiは家のリビングで家族と一緒に遊ぶ、コミュニケーションツールとしての側面が高い。一方PLAYSTATION 3(PS3)は自身も含めたヘビーユーザーの期待度が高いハードであるとし、次世代ゲーム機にふさわしいソフトの出現を期待した。またXbox 360は、米国におけるネットワーク型ゲームの人気にうまく当てはまったと位置づけた。
講演の後半では、世界のゲームビジネスの変化について触れた。まず世界的な流れとして、PCでもゲーム機でもダウンロードゲームが広がっていることが挙げられる。中国・ロシアでは数千万人単位でネットゲーム愛好者が存在し、最終的にPCとゲーム機の境界線はなくなるだろう、と浜村氏は予測した。これまで成長過程にあった海外のゲームビジネスは、次第に日本市場のような成熟化へと向かっており、今では世界中のユーザーがゲーム先進国の日本と同じタイプのゲームを求めるようになっていると説明した。
最後に浜村氏は、日本市場の動向を予測した。2007年度の日本ゲーム大賞に選ばれた「Wii Sports」「モンスターハンターポータブル 2nd」に共通するのは、友達などと一緒に楽しめること。当面のトレンドは、誰かとつながっていると実感できるゲームソフトだと語った。
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