GoogleとMicrosoftは、インターネット上の検索および広告の分野で長年にわたって厳しい競合関係を続けてきているが、その対立の場がワシントンにも広がりつつある。
両社の経営幹部たちは、米国時間9月27日午後に開かれる上院司法委員会の聴聞会に出席し、GoogleによるDoubleClickの買収をめぐって、それぞれの立場から意見を表明する。総額31億ドルにものぼるこの買収が発表されたのは4月のことだったが、いまだに米連邦取引委員会(FTC)および欧州、オーストラリアの規制当局による調査が完了していない。
この聴聞会は、Googleと連邦議会との関係において新たな展開の始まりとなる可能性がある。というのも、急成長を続けるGoogleの経営戦略を議会が真剣に取り上げるのは今回が最初で、同社の買収計画がこれほど強固な政治的圧力に直面するのもこれが初めてだからだ。
さらに言うなら、これはGoogleにとって最も危険なビジネス上のライバルたちが、長期にわたって密かに行ったロビー活動や、公然と繰り広げた反対運動の結果でもある。独占禁止法の問題に通暁しているMicrosoftは、名うてのロビイストたちを多数動員して買収計画を粉砕しようと働きかけており、また、AT&T、Yahoo、Time Warnerなどの企業も懸念を表明している。
Googleとしては27日の聴聞会において、テキストベースの広告(言うまでもなく、Googleの専門分野)とグラフィックスを用いたディスプレイ広告(DoubleClickの得意分野)との違いを強調するつもりだ。もう1つの論点は、両社が広告の販売や配信プロセスにおいて異なる分野に属しており、相互補完的な関係にあるということだ。
CNET News.comが入手した準備原稿によると、Googleの副社長であるDavid Drummond氏は、司法委員会に対して次のような意見を述べると見られる。「当社がDoubleClickを買収しても、独占禁止法に触れることはない。理由は単純なことで、GoogleとDoubleClickは相互補完的な関係にあり、互いに競合しているわけではないからだ。たとえて言えば、DoubleClickと当社との関係は、FedExまたはUPSとAmazon.comとの関係に似ている。当社の事業は、主にテキストベースの広告を販売することであり、今のたとえで言うと書籍の販売にあたる。これに対して、DoubleClickの中核事業はディスプレイ広告の配信およびディスプレイ広告に関する調査だ」
Drummond氏が違いを強調するのは、この買収について調査しているFTCの法律専門家や経済学者にとって、この点が重要になるためだ。最終的に、GoogleとDoubleClickの事業分野は十分に異なっていて、それゆえ両社の製品は互いの代替とならないという結論が出れば、買収案件はさほどの厳しい抵抗は受けずにすむ。
1980年代初期以降FTCと司法省は、合併によって市場の集約度がどの程度増すことになるのか、それが競合的な力をそぐような影響を及ぼしたり、強力な競合他社を生みだしたり、消滅させたりすることにならないかといったことを評価し、合併によって市場への支配力が不合理に生じたり強まったりすることがないかを見きわめようとしてきた。
市場支配力に関する自説の論拠を確たるものにするため、MicrosoftとGoogleはロビイストだけに頼らず、経済学者も陣営に招きいれた。公開イベントでは、スタンフォード大学の経済学教授Robert Hall氏がGoogleを代表し、Brownstein Hyatt Farber Schreck法律事務所ワシントン支所のロビイストたち(このなかには米司法省独禁法部門の上層にいたMakan Delrahim氏も含まれる)と共同戦線を張っている。
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