AppleがiPhoneの価格設定で驚くべき失態を犯したのは、同社の幹部らが経済学の授業を取りすぎ、心理学の授業を十分に受講しなかったためだろう。
Appleが2007年夏になってから実施したマーケティング活動や宣伝活動は成功だったようだが、最高経営責任者(CEO)であるSteve Jobs氏が米国時間9月5日にiPhoneの価格を200ドル値下げすると発表した際の初期購入者らの反応を、同社が予見していなかったのは明らかだ。書籍「ヤバい経済学(原題:Freakonomics)」の著者で、現在、The New York Timesで同名のブログを執筆しているSteven Levitt氏は10日、iPhoneの値下げをめぐる騒動と考えうる原因について興味深い意見を投稿した。つまり簡潔に言えば、ある企業が、待望の新製品に可能な限り高い値段を付け、その後、時間の経過とともに当初の需要が薄れるにつれ徐々に値下げしていくという手法は、もはや確立された経済活動だ、とLevitt氏は指摘する。ただ問題は、消費者もばかではないということだ。企業が明らかにカスタマエクスペリエンスよりも利益を優先していれば消費者も気付く。そして、この点こそがAppleが見誤った点だという。
6月29日に599ドルで売られていたiPhoneと、昨日399ドルで売られていたiPhoneは基本的に全く同じだ。ただ、Appleは最近、価格が349ドルのiPod touchを発表したため、インターフェースがiPod touchとほとんど変わらないiPhoneを購入するさらなる理由を消費者に与える必要があったという意見も一部にはある。iPod touchは、iPhoneと同様興味深いデバイスではあるが、電話機能は付いていない。
仮にAppleが、初期版iPhoneとは別に、より高性能なiPhoneを599ドル程度で発売し、その上で初期版を値下げしていれば、恐らく初期購入者も値下げを受け入れやすかっただろう。「Appleが最新のiPhoneを発売すれば、同社がiPhoneの改善方法を模索しているという印象を与えるので、消費者も初期版の値下げを許容しやすいだろう」(Levitt氏)
ハイテク企業の中でも、最も多くの忠実な初期導入者を抱えているのがAppleであることはほぼ間違いない。Appleが1月に「Macworld Conference & Expo 2007」を開催したとき、夜明け前からサンフランシスコのMoscone Centerの外で並んでいた人々の何人かは、Appleが設計した携帯電話であれば、その外観や値段、さらにそれが本物であるかすら分からなくても必ず購入すると明言した。しかし、そんな彼らにも我慢の限界はある。もっとも、その怒りもAppleが次の主要製品を発売するまでには沈静化しているだろうと私は思う。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したも のです。海外CNET Networksの記事へ
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