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元銀行マンが懸けるコンテンツビジネスの夜明け - (page 2)

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--日本のデジタルコンテンツを取り巻く環境についてはどう見ていますか。

 日本のコンテンツが国際的にも高い競争力を持っていることは疑う余地がありません。特に日本人は、プロットや静止画から動画を生み出す能力に秀でています。これは漫画文化によって培われたものでしょう。加えて、インターネット環境、ことにインターネット対応モバイルなどの技術面も優れている。市場規模や人材、技術だけを見ると、なぜデジタルコンテンツ市場がいまいち伸び悩んでいるのか不思議なぐらいです。

 でも残念ながら、それらの長所を使って新しいビジネス構造を作るのは下手なんです。米国のように、旧来型のビジネスモデルを打破する姿勢、例えば映画の告知をYouTubeに流し、かつ劇場公開と同時にDVDを販売するといったような、柔軟な対応ができていません。さらに、海外進出に対する意識も低い。足下の市場が大き過ぎるため、あえてハードルの高い海外へコンテンツを輸出することにメリットを感じていなかったことが原因です。

--市場構造がデジタル化に対応しきれていないと。

 日本のデジタルコンテンツのビジネスモデルは、米国のように権利が制作会社に一極集中していません。米国の場合、資金の調達構図はピラミッド型で、エクイティの下にメザニン、1番下に銀行と一応なってはいますが、権利は制作会社、スタジオに集中していますので、コンテンツ利用の自由度が高い。

 日本で最近主流となっている製作委員会方式は、各社の強みを活かし、かつ投資を分散してリスクヘッジできるという点では確かに合理的ですが、言い換えれば、いわゆる投資ではなく、興行権や上映権、DVD頒布権、ゲーム化権など、自社の持ち分を買っているに過ぎません。

 そのデメリットとして、互いのシェアを食いあわないよう、例えば制作段階で想定していなかった流通を使うときに各社の合意が必要であるなど、柔軟な対応がしにくい側面があります。著作権者が複数いて、使用権が分散してしまっていることは、市場拡大の最大の障壁になっていると思いますね。

--著作権法など、現行の知的財産基本法をデジタル化に対応させればいいということですか。

 もちろんそれもありますが、それだけでは解決できないと思います。この3〜4年、海外に目の向いた制作会社や若手のプロデューサーが出てきて、自分たちが権利のホルダーとしてやっていきたい、という意識は強まっていますし、そうした人たちに権利を集中させれば、ビジネス構造自体を変え、業界をより大きくしてくれるだろうという期待があります。

 いかに著作権法を改正しようと、ビジネスとしてコンテンツを扱ってる人と、コンテンツを制作する人とは、本来的に意見が合わないことは事実です。でも、両者がうまく折り合っていかなければ、新たなビジネス構造は決して生まれません。そのためにはまず、新たなビジネス構造に対応した資金供給や仲介業務ができる、我々のような企業が、少なくともあと数社出てくる必要があるでしょう。さらに、著作権に精通し、外国とも互角に渡り合える法律家も必要です。もちろん、銀行などの協力も欠かせません。要するに、業界にいる人たち全ての意識改革こそ最重要なんですよ。

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