ハイテク企業が長年にわたって主張してきた特許法の改正に向けた動きとして、米下院司法委員会は米国時間7月18日、論議を呼んでいた特許法の改正を全会一致で承認した。この改正は、米国の特許システムにおける欠陥を是正するには不可欠であるとハイテク企業が訴えていたものだ。
米国特許法改正案(The Patent Reform Act of 2007)は、若干の修正が加えられたものの、下院司法委員会を通過したことで、下院本会議で審議されることになった。改正を支持している人々は、この改正によって訴訟費用の削減や、不適当な特許の締め出しが可能になるとともに、特許権者に重きを置きすぎていると主張されているシステムにバランスを取り戻すことができるだろうと述べている。
この改正案の中心的な立場にあるHoward Berman下院議員(民主党、カリフォルニア州選出)は投票後の声明において「この改正案を承認したわれわれの目的は、特許がイノベーションを奨励するものであり続けるよう特許システムを改革することだ」と述べるとともに、「特許システムはきちんと機能していれば、発明者が知識と可能性の限界を押し上げることを奨励するとともに、それを可能にする」と述べている。
この改正案では、特許システムの歴史において最も大きな変更がいくつか提案されており、その中には、「先発明主義」を、諸外国が使用している「先願主義」に変更することも含まれている。
承認された改正案には、テクノロジ企業が長年求めてきたものの、他の企業から反対されていた条項もいくつか含まれている。最も注目に値するのは以下のものである。
特許訴訟における損害計算の新たな枠組み:製品に使用する数多くの構成部品に特許が絡んでいることが一般的であるハイテク企業は、現行のシステムでは特許侵害訴訟で認められる損害賠償額が大きすぎるため、和解金や特許権使用料の高騰に拍車がかかっていると主張してきた。
承認された改正案では一般的に、特許が市場における製品需要の「有力な」理由であると特許権者が証明できない限り、裁判所はその特許が製品にもたらした価値のみを考慮することが求められるようになる。
特許紛争を早期に調停するための、裁判所とは異なる機関:長期間にわたり、金銭的な負担も大きいことの多い訴訟の代わりに、改正案では、発行されて間もない特許に対する異議申し立てを取り扱うための特別な審査委員会が特許商標庁内に設けられることになっている。最終案では、製薬会社や製造会社、ベンチャーキャピタリストが彼らの特許の価値を損なう可能性があると批判していた、異議申し立てのための「第二の窓」(特許権者からの侵害警告後の一定期間)が取り除かれている。
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