ピーター・ムーア氏に聞く「Xbox 360の不具合と保証期間延長」

文:Tor Thorsen(Special to CNET News.com) 翻訳校正:編集部2007年07月18日 08時00分

 2007年7月5日午前、MicrosoftはXbox 360本体の保証期間を延長すると発表し、ゲーム業界に大きな波紋を呼んだ。90日間から1年間に延長された初期不良対応期間(訳者注:日本では当初から1年保証で販売されている)を過ぎていても、すべての製品が「red ring of death」(訳者注:インジケータにエラーが表示され、起動できなくなる症状。電源ボタンに赤い表示が3つ点灯することからこう呼ばれる)の保証を3年間受けられることになった。保証は2005年11月の発売以降に発生したすべての修理費用と本体修理に適用される。

 ゲーマーはこの決定の動機を詮索しているが、今回の保証延長がゲーム業界史上前例のないものであることは確かだ。また、その費用も莫大だ。Xbox 360の売り上げが目標をわずかに下回ったという発表の少し前に、Microsoftはこの保証延長措置を受け、2007年4-6月期に「現在の強化されたXbox 360の方針をカバーするためのコスト」として10億5000万〜11億5000万ドルの税引き前費用を計上すると明かした。

 この発表の直後に、GameSpotは今回の対処についてPeter Moore氏に話を聞いた。Microsoftのエンターテインメントビジネス事業部のエンターテインメントおよびデバイス部門でコーポレートバイスプレジデントを務める彼は、Xbox 360の最大の広報マンでもある。しかし、E3 2006で同氏が見せた大言とは対照的に、360の新しい保証ポリシーとその影響を説明するMoore氏の口調には悔恨と心から弁明している響きがあった。

――大きなニュースがあったようですね。

 ええ、発表内容をひととおり説明させてください。(Xbox 360の)事業が好調であることを説明する必要はないと思います。来週のE3でその証拠をご覧いただけるでしょう。しかし、E3開催の前に、世界中が注目しメディアもカバーしている、品質に関する問題にわれわれが取り組んでいることを説明したいと思っています。われわれにとっては受け入れがたい数のXbox 360本体の修理事例が、ここ数カ月の間に発生しました。そこで本社で調査を行い、いくつかの原因を特定しました。原因は1つではありません。あまりに有名になってしまった、Xbox 360本体に赤いライトが3つ点灯してユーザーに示される問題を引き起こす要素はいくつかあります。

 そこで、われわれはこうしました。本体自体を改善し、この問題の発現率を低下させること、そして保証期間延長を実現することにより、今回問題にしている赤ライトが3つ点灯するケースのハードウェア不具合に対処します。

 保証期間の延長策として、この不具合が起こる本体はすべて3年間保証対象とすることを本日発表しました。したがって、この問題が起こっても顧客は無償で修理を受けることができます。現在出荷分も含め購入の日から3年間が対象です。したがって、いつ購入した製品でも、この問題に関しては購入のその日から3年間保証を受けることができます。

 さらに、この問題に関して保証外の修理を行った顧客に対し、さかのぼって費用を弁償します。さらに、この点は明確にしておきたいと思います。あなた方はご存じと思いますが、これは消費者の安全性に関する問題ではなく、この決定はわれわれが自発的に行ったものです。明らかに費用はかかります。6月30日で終わる四半期の費用支出は税引き前計算で10億5000万〜11億5000万ドルに達する見込みで、これは現行および今回の拡張後のXbox 360製品方針で予想されるコストを想定したものです。

 最後にお伝えしたいことは、Xbox 360は全てのユーザーがすばらしいゲーム体験をしつづけるための責任を担っていることをわれわれが強く認識しているということです。

――手元のXbox 360コンソールが死んでしまうのではないかと心配しているユーザーにとっては実に大きなニュースですね。しかし、Microsoftのような大企業は何か大きな誘因がなければそうした決定はしないのではないでしょうか。原因はいろいろあるとおっしゃっていましたね。原因を特定するに至ったのでしょうか。

 そうは言えません。これは物質的な問題ではないのです。実際に起こったことはご存じの通りで、ここ数週間に自分が受け取ったメールからもわたしも痛いほどにわかっていますが、このエラーについて、われわれがユーザーに対し正しい態度を取ってこなかったことが問題なのです。このエラーはハードウェアの不具合によるものでした。これが何なのかを説明する必要はないと思いますが、適切な対処をしたいと思っています。そのための費用は決して小さくはありませんが、消費者にとって適切な対応だと確信しています。また、われわれは大半のXbox 360本体をお使いの方はすばらしいゲーム体験をしていると考えており、ここ数週間われわれが不十分な対応をしたお客様に対して配慮することが重要です。これが物事を正しい方向に持って行くということです。言うまでもなく彼らは360を愛していて情熱的な人たちです。われわれは、彼らの期待するレベルに達していませんでした。それを変える必要があります。

――では、今回の保証制度は製造開始以降すべてのXbox 360本体にさかのぼって適用されるのですね?

 その通りです。すでにこの問題が発現していて自分で修理費用を払っている方には、その費用を払い戻します。先週購入された方や2週間前に購入された方も、この不具合に関して3年間の保証を受けられます。

――この発表内容を見ると、2007年6月30日以前に購入した人だけが対象になるように見えます。

 そうではありません。それはわれわれの会計期間に関する記載です。これはXbox 360の保証拡張プログラムです。赤ライトが点灯した場合には3年間にわたって保証が提供されます。ですから、発売日に買っても、その日から3年間の保証を受けられるのです。

――ということは、今後製造されるすべての360にも適用されるのですね?

 ええそうです。これは保証プログラムですから。われわれはこの問題を解決しなければなりません。今日までの一回限りの施策ではありません。これは、今から発効する3年間の保証です。

――この方針を将来変更する可能性はあると思いますか。

 いまのところそうは思いません。製品を使っている人々に配慮する必要があります。方針を変えるのはそれに反することです。

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