丸善と大日本印刷は7月12日、業務・資本提携すると発表した。丸善の主要業務である教育や学術市場をはじめとする業務全般で協業する。また大日本印刷(DNP)は大和証券エスエムビーシープリンシパル・インベストメント(DPI)からDPIが所有する丸善の株式のうち4万4480株(発行済み株式の25.5%)を譲受し、丸善の筆頭株主となる。
丸善はDNPが保有する印刷技術や情報技術のノウハウの提供を受け、顧客の利便性や満足度を高める。また事業の拡大を図る狙いがある。
丸善は書店などの店舗事業のほか、大学などに向けた書籍販売や図書館運営請負などの教育・学術事業、理工系の専門書籍の出版事業、小売店舗向けの店舗内装事業がある。これらのすべての事業でDNPと提携する。
具体的には、ICタグを活用した図書館内の書籍管理など業務の効率化、3D技術を生かした医療等の遠隔教育、店頭POPのディスプレイ化、絶版本を書店の店頭で印刷、販売するプリントオンデマンド出版物、出版物の電子化などが想定できるという。このほか、店舗内装事業でも大日本印刷の商品を活用したいとした。
一方、DNPは丸善との協業を通じて新規事業を開発する。また、書店での販売情報などを既存顧客の出版社に提供し、事業拡大につなげる。
丸善は1869年(明治2年)、DNPは1876年(明治9年)創業のいわば超老舗企業。今回の提携について、丸善代表取締役社長の小城武彦氏は「両社とも似た事業を提供し、創業130年を超える生い立ちを持っている。また、1897年(明治30年)から出している印刷物は、第1号からずっとDNPに印刷を依頼している。大変すばらしいパートナーだ」と話す。
また、DNPも「DPIとの株式譲渡契約は基本合意に達したばかりでまだ価格も決定していない状態だが、業務提携の話が先行して進んでおり、実効性を早くあげるべく発表した」(常務取締役の森野鉄治氏)と相思相愛ぶりをアピールした。
両社によれば、今回の話はDPIがDNPに持ちかけたものという。丸善は少子化や研究資料データのデジタル化などに伴い業績が低迷。2005年に大幅な減資とDPIを引き受け先とした第三者割当増資を行い、経営再建に取り組んでいた。負債等の処理が済んだとして、DPIは丸善との事業の相乗効果が見込めるDNPに保有株式を譲渡することとした。DPIの持株比率は12.7%となる。
「4月にDPIから照会があり、5月から話し合いを始めた」(森野氏)と話はとんとん拍子に進んだようだ。
丸善株の12日の終値は前日比36円増(19.25%増)の223円と急伸している。
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