丸善は6月26日、大手ECサイト運営のアマゾンジャパンと業務提携すると発表した。事実上、丸善はネット通販事業から撤退し、アマゾンジャパン運営サイトへの送客によるマージン収入にビジネスモデルを切り替える。
書籍販売を軸にしたネット通販では、アマゾンジャパンの存在感が高まっている。今回の事業提携により、丸善は現実的な収益面に重きを置く戦略に大きく舵を切った格好だ。
丸善は8月下旬にECサイトを刷新。丸善とアマゾンジャパンによる共同ブランドのECサイトを立ち上げる。アマゾンジャパンが国内書店と共同ブランドを展開するのは初めて。
ECサイトの運営・管理におけるシステムおよび物流機能は、そのほぼすべてでアマゾンジャパンの既存システムを活用し、一部丸善が独自で仕入れているオリジナル商品も取り扱う。丸善は書店の店舗で培った売り場ノウハウをもとにして選書を行うなど、情報発信に注力する。
別システムで運営していた携帯電話サイトについては、KDDIの携帯電話向け公式ECサイト「au Books」の運営は続けるが、ドコモおよびソフトバンク向けに提供しているサイトについては閉鎖する。
ビジネスモデルが通販から販売代行によるマージン収入へ変わることに伴い、丸善では「ネット事業の売上高は下がる」(丸善広報担当)と見込んでいる。ただし、これまで自社で通販事業を行っていたのに比べて数億円のコスト削減となり、収益率は向上するという。
今回の提携のメリットについて、丸善の取締役社長の小城武彦氏は「1社が独自で国内市場向けのみで行うシステム投資レベルと、アマゾンのようにグローバルな展開に向けたシステム投資のレベルでは、顧客満足度に開きがあると感じている。アマゾンの力を借りながら丸善ブランドを生かすような方法をとれないかと考えた」と語る。
丸善のネット通販事業は、もともと一般顧客向けのネット通販事業のほか、大学の研究者向けに専門書の販売などを行っており、専門書の販売が売上高の半分以上を占めていた。
今回、一般顧客向けの業務でアマゾンジャパンと提携したのを第一弾として、大学向けのサービスや、自社のコーポレートサービスも刷新していくという。
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