オンライン書店の第2世代に切り込むブークス

瀬井裕子(編集部)2007年06月13日 21時10分

 日本でオンライン書店のサービスが本格的に始まったのは1996年。サービスが始まって10年間で利用者数は伸び続け、オンライン書店の市場は2005年に600億円を超えた。中でもAmazon.co.jpは2000年11月の開店以来、売上高でトップの座を獲得するとともに、アフィリエイトやマーケットプレイスのサービス提供などで「本を買う」スタイルに影響を与え続けている。

 そんな中、オンライン書店の第2世代とも言うべきベンチャーが現れた。配送料無料のオンライン書店のASPを提供するブークスが、オンライン書店の勢力図を塗り変える可能性を秘めて着実にビジネスを展開し始めている。

ポイントサービス×本×EC

 ブークスの主な事業は、1冊から送料無料のオンライン書店システムのASP「boox」の提供と、自社で運営するオンライン書店「シスコストア」の運営。

 ASPの提供については、会員向けのポイントサービスを展開する主要カード会社など20社と提携し、各社のブランドを生かしたオンライン書店の構築を支援する。

 各社が運営するオンライン書店では、利用者は各社のウェブサイトから本を購入し、定価の5%のポイントをそれぞれに貯めることができる。

 また、企業の福利厚生のサービスとしても利用され、各種企業が雑誌や資料の割引購入のためにブークスと契約しているという。

boox井上氏.jpg「本って小売側の努力でもっと値段を下げて売る方法があると思っていました。試行錯誤したのが今のビジネスにつながっています」と井上氏

 送料無料の秘訣は、代表取締役の井上幸宏氏の起業前の経験と知識による。

 京都出身の井上氏は、佐川急便の京都本社で働いた経験を持つ。その経験から物流各社の細かな料金体系を理解し、低コストの物流システムを作り上げた。

 在庫の面でも特徴がある。商品となる本はすべて仕入れ先の卸会社の大阪屋が持ち、同社は在庫を一切持たない。大阪屋はアマゾンの商品供給も担当していることを考えると、ブークスは実質的にはアマゾンよりも早く商品をそろえることができ、またより多くの商品を扱えると言える。

 これらの物流と商品管理システムの組み合わせで、同社は通常のオンライン書店よりも低コストの発送を実現しているという。

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