これまで発表されてきたMicrosoftとLinuxベンダーらとの提携に続き、MicrosoftとCanonicalとの間でも技術や法律に関連する提携があると予想している人々は、少なくとも現時点では落胆することになるだろう。CanonicalはLinuxディストリビューションである「Ubuntu」を提供している。
Canonicalの最高経営責任者(CEO)であるMark Shuttleworth氏は米国時間6月16日、MicrosoftがNovell、Xandros、およびLinspireなどLinuxディストリビューターらと結んだような協定に関するMicrosoftとCanonicalとの提携話は持ち上がっていない、とブログに書き込んだ。
同氏は、CanonicalはMicrosoftとの提携交渉を断ったと述べる。この提携は、「不特定の特許」に関連してUbuntuユーザーに法的保護を提供するというものという。
同氏は、「『不特定の特許に侵害』しているとする主張は、まったく説得力がない。彼らに法的実体があるとは思えないし、その存在が何か素晴らしいことの実現に向けたMicrosoftとの提携の動機になるとも思えない」と書いている。
Shuttleworth氏によると、これらの特許に関する合意は、「保護に関する錯覚」を招き、Microsoftのような大企業の起こす特許訴訟から実際にユーザーを守ることはないという。
Canonicalは営利企業で、複数のフリーソフトウェアプロジェクトを支援し、LinuxディストリビューションのUbuntu向けにサービスを提供している。
Microsoftは2006年秋に、Novellと広範にわたる提携を結んで以降、ここ1カ月の間にもXandrosやLinspireと、同様の提携を発表してきた。これらは技術的な相互運用性をカバーしながら、これらのLinuxディストリビューションを利用する一部の顧客に法的保護を与える。
Microsoftはこれら企業に対してまだ訴訟を起こしていないが、Linuxが同社の特許235件を侵害していることを確認した、と発表している。
Microsoftの相互運用性および標準規格担当ゼネラルマネージャーであるTom Robertson氏は先週、「共存の問題」だとして、MicrosoftがほかのLinuxやオープンソース企業とも、この種の提携を拡大していきたい意向だと述べた。
Microsoftと、大手商用LinuxディストリビューターのRed Hatとはまだ提携していない。MicrosoftがNovellとの提携を発表したことを受け、Red Hatは、Microsoftに「技術革新税」は納めない、と批判していた。
Shuttleworth氏は、同じブログへの書き込みで、(ほかのLinux関連の提携の内容には含まれている)競合する「Office Open XML」と「OpenDocument」の両ドキュメントフォーマットの技術的な相互運用性を追求することは取り組む価値がないとしている。ただ同氏は、UbuntuがLinuxとWindowsの相互運用性を向上させる取り組みから恩恵を受けることのできる立場にあることにも言及している。
Shuttleworth氏は、「MicrosoftのOpen XML仕様が、複数の製品に実装され、活気があり競争が激しく健全な市場を作り出すとは思えない。この仕様では不十分だし、都合が悪くなったときにMicrosoftがこの仕様に固執するとも思えない」と述べている。
OpenDocument Format(ODF)の方が優れているし、Microsoftはこれに対するサポートを向上させるべきだと、同氏は述べている。
Shuttleworth氏は、Microsoftとある程度協力するという選択肢を完全に否定することはしなかったが、Canonicalが既存のLinux関連の提携にほとんど興味のないことは明言した。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス