Deutsche Telekomは、インターネット電話サービスの新興企業であるJajahへ出資することを先ごろ発表した。同社は大手電話会社として初めて、次世代ネット電話企業に対して敵視から融和へと姿勢の変化を見せた。
Deutsche Telekomの投資部門であるT-Online Venture Fundは米国時間5月29日、同ファンドがJajahの2000万ドルの獲得を目指した投資ラウンドに参加したことを発表した。Intel Capitalがこの投資ラウンドを率いた。
この出資には大きな意味がある。なぜなら、従来の電話会社による、一連の新しい新興企業各社に対する見方に変化が見られるからだ。こうした新興企業は、低価格テレフォニーサービスの提供にVoIPを採用している。主力電話会社はこれまで、特に米国を中心に、無償のPC間通話を提供するeBayのSkypeや、ブロードバンド接続を電話回線がわりに利用するVonageなどの企業を、従来の電話ビジネスにとっての脅威としてみなしていた。
Verizon Communicationsは、Vonageに対して訴訟を起こしており、Vonageは5800万ドルの損害賠償支払いを3月にバージニア州の裁判所から命じられている。
しかし、こうした状況にも、もうすぐ変化が訪れるかもしれない。既存の加入電話や携帯電話を使った無償もしくは低価格のVoIP通話を可能にするJajahは、新興企業として初めて主力電話サービスプロバイダーから正式な支持を受けている。専門家らによると、VoIP企業を味方につける動きが通信市場の競争が激しい欧州のキャリアから最初に出てきたことには驚きではないという。しかし彼らは、米国内のキャリアが追従するかどうかについては懐疑的だ。
IDCのVoIPサービス担当調査マネージャーであるWill Stofega氏は、「今回の出資は電話事業者の姿勢に対する大きな変化を意味する。電話会社各社はこれらの新興企業から多くを学ぶ必要がある。しかし、米国の電話会社が喜んで心を開くかどうかは分からない。彼らはまだ、新興企業各社を音声通話による利益を吸い取る脅威として見ている」と語っている。
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