インターネット電話サービスを展開しているVonageは米国時間4月5日、同社がIP電話サービスの卸売りを営むVoIP Inc.と交わした契約について、誤解されている部分を明確にしようと、その内容を明らかにした。その中で同社は、この契約はVerizon Communicationsが所有している特許の回避策の検討とは無関係であると強調した。
VoIP Inc.は、3月28日に米証券取引委員会(SEC)に提出したForm 8-Kの中で同契約に触れていた。Vonageの広報を担当しているBrooke Schultz氏によると、これはネットワーク接続に関する標準的な契約だという。この契約をめぐっては、一部のブロガーや業界の専門家の間で、VonageはVerizonの特許を回避するためにVoIP Inc.と協力して対策を講じようとしているとの憶測が流れていた。
Schultz氏は、VonageではVoIP通話の送信にVoIP Inc.の子会社であるVoiceOneのネットワークを利用していると説明した。
同氏は次のように述べている。「VonageはVoIP Inc.から技術供与を受けているわけではなく、先方のネットワークに信号を流しているだけだ。VonageがLevel 3やXO Communicationsといった通信キャリアと結んでいる提携契約と何ら変わるところはない。このような提携なら、われわれは長年にわたって何十件も結んできた」
裁判所は3月に、VonageのIP電話サービスがVerizonの所有する3件の特許を侵害しているとの判断を示している。裁判所はVonageが故意にVerizonの特許を侵害したわけではないとしながらも、5800万ドルの損害賠償金をVerizonに支払うようVonageに命じた。この裁判を担当した連邦地裁のClaude Hilton裁判官は3月23日、Vonageに問題の3件の特許を含む技術の使用を禁じる命令を下すと述べたが、禁止命令は4月6日まで発行しないとしていた。
現在、Vonageと同社の200万人を超える加入者はHilton裁判官の出方を見守っている。同裁判官は禁止命令の発令と同時にその執行を一時停止してVonageに時間的余裕を与え、同社が本件について控訴するか、Verizonと契約を結ぶか、あるいは回避策を講じるか、いずれかの策を取るのを待つ可能性もあるからだ。
Vonageは、Verizonの特許のいずれについても、これを侵害した事実はないと主張しており、地裁の判決が下って以来、控訴するつもりだと繰り返し述べている。また、Hilton裁判官が禁止命令を発令する意向を表明してからは、Vonageは裁判所に対して裁判のやり直しと判決の変更または修正を求めて異議を申し立ててきた。対するVerizonも、Vonageの異議それぞれに抗弁する書類を提出している。
Vonageは同社のIP電話サービスの先行きについて、顧客が心配する必要は何もないとの立場を崩していない。
VonageのSchultz氏は「われわれは、Hilton裁判官もしくは上訴裁判所から禁止命令の執行停止を引き出すべく努力している。これまでプレスリリースで繰り返し述べてきたように、電話サービスの提供を継続できるものと信じている」と語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」